命のリレーつながった

本震当日、鹿児島にヘリで搬送し出産

画像本震の日に破水し、ドクターヘリで鹿児島市立病院に運ばれた宮田愛美さんと、彩葉ちゃん。「鹿児島でも多くの人によくしてもらった」と感謝する=氷川町画像宮田さんを搬送した鹿児島県のドクターヘリ。右奥は桜島=3月、鹿児島市立病院

 熊本県氷川町の主婦、宮田愛美[めぐみ]さん(27)は昨年の熊本地震の本震当日、妊娠34週で破水した。地震で県内のNICU(新生児集中治療室)はパンク状態。病院や消防隊の懸命のリレーで日没ぎりぎりにドクターヘリで鹿児島市立病院へ運ばれ、次女彩葉[いろは]ちゃんを無事出産した。彩葉ちゃんはすくすく育ち、もうすぐ1歳の誕生日を迎える。

 宮田さんは5月下旬が出産予定だったが、本震が起きた4月16日の午後4時半ごろ、自宅で破水した。「なんでこんな日に…と不安でたまらなかった」

 すぐに、かかりつけのまつばせレディースクリニック(宇城市)に向かった。早産となるため、NICUのある病院で手当てが必要だったが、熊本市民病院は被災して使えず、熊本大病院と福田病院のNICUは、市民病院からの患者受け入れで満床状態だった。

 午後5時半、同クリニックの村本順一院長はDMAT(災害派遣医療チーム)に連絡。鹿児島市立病院が受け入れてくれることになった。同病院には鹿児島県のドクターヘリも駐機していた。

 ただ、ヘリは日没後は離陸できない。同日の日没は午後6時46分。1時間余りしか残されていなかった。

 同病院の平川英司医師は「熊本までの飛行時間を逆算すると、午後6時すぎには飛び立つ必要があった。だが、県境を越えて飛ぶ場合、熊本からの要請が条件。エンジンを掛け、ヘリの中で要請を待った」と振り返る。

 ヘリは午後6時10分、宇城広域消防本部を通じて要請が入ると同時に離陸し、同36分に宇城総合病院に到着。宮田さんを乗せ、どうにか日没ぎりぎりに離陸することができた。

 宮田さんはヘリ内で子宮収縮抑制剤の点滴を受けながら鹿児島へ搬送され、17日午前5時すぎに彩葉ちゃんを産んだ。宮田さんは「気が気でなかったが、彩葉の元気な産声を聞いたときは心からほっとした。病院の先生方、消防隊員、ヘリの操縦士…たくさんの人にお世話になり、感謝しています」と話している。(森本修代)

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