視覚障害者の世界広げ 録音赤十字奉仕団やまどりが創立40周年

 ◆5月に伊勢原で活弁士による上映会 視覚障害者に本や新聞、雑誌を音読したCDを制作する「伊勢原市録音赤十字奉仕団やまどり」が創立40周年を迎える。地域の話題を中心にさまざまな情報を伝え続け、利用者からは「世界を広げてくれた」と評価されてきた。活弁士による情景説明を聞きながら映画を楽しめる視覚障害者向けの上映会を5月7日、同市田中の市文化会館で開き、節目を祝う。

 メンバーは伊勢原を中心に平塚、厚木などの主婦ら43人。伊勢原市や市議会の広報紙、新聞、雑誌、小説などを読み上げ、CDを制作し、約30人の利用者に郵送している。

 同会は市の録音基礎講座の受講生が中心となり、1977年8月に発足した。創立当初から活動する前会長の鈴木朝子さん(76)は「大型の黒いカセットデッキを持ち、市役所の空き部屋を探し回った」と振り返る。

 その後、同市桜台に市が福祉施設「すこやか園」を建設し、施設内に小さいながらも専用のスタジオが設けられた。年月を経て、カセットはCDに、デッキもパソコンに変わった。

 点字を読むのと異なり、音読した音声はデータとしてまとめやすい上、聞きながら他のこともできる利点がある。

 利用歴35年の市内の主婦今津紀久恵さん(68)は「身近な情報を知ることができ、世界が広がった。なくてはならない存在」と感謝する。

 林朝子会長(73)はこれからの活動について「近隣のボランティア団体と交流しながら、スキルアップしていきたい」と話す。

 上映会は午後1時開場、同1時半開演で、入場無料。宮沢りえさん主演で松坂桃李さん、オダギリジョーさんら人気俳優が出演する映画「湯を沸かすほどの熱い愛」を上映する。

 余命2カ月と宣告された母親を巡る家族の物語で、宮沢さんが日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞した話題作だ。バリアフリー活弁士の壇鼓太郎さんが音声で場面を説明する。定員392人。

 上映会の問い合わせは、林会長電話0463(94)1189。

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