中越地震から12年、地すべり対策事業完了記念式典 鋼材も復旧に寄与

国土交通省北陸地方整備局はこのほど中越地震の際に大規模な土砂災害が発生した芋川地区直轄地すべり対策事業の完了記念式典を開催した。記念講演では当時山古志村村長として全村避難を決断した長島忠美衆議院議員が当時の村民との苦労や関連機関との必死のやり取りを振り返りつつ、地域の再生に向けた思いを語った。

 中神陽一北陸地方整備局長は「芋川流域で75カ所の地すべりが発生。大規模な河道閉塞で集落が水没した。さらに20年ぶりの豪雪による春先の出水で大規模な荒廃が進み、対策に着手してきた。56カ所の地すべり対策工事が完了し、新潟県に引き継ぐことになった」と経緯を説明。中神局長から米山隆一新潟県知事へ事業目録が手渡された。事業報告では集水井、鋼製セル構造による床固工(高さ14・5×長さ105メートル)、鉄筋挿入工3554本など鋼材による復旧工事も言及された。

 今後の地すべり対策施設の維持管理の例として水路工の機能確保が紹介された。

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