【特集】生誕90年、進化続けるカレーパン

無限に広がる味、形

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イベントに出品されたいろいろなカレーパン=一般社団法人 日本カレーパン協会提供
日本カレーパン協会の会長を務める佐藤絵里さん=4月、東京都港区
90年を超える歴史を持つ「カトレア」の“元祖”カレーパン=4月、東京都江東区

 サクッと一口かじればスパイシーなカレーがとろり…。総菜パンの定番で根強い人気があり、大型店にも小さなパン店にも、必ずと言っていいほど並んでいるカレーパン。

 “元祖”を生んだ店では90年を超えて販売されるなど長い歴史を誇る上、最近は味も形も調理法もアレンジは無限。今なお進化を続けているのだ。

 東京・池袋で近く開かれるカレーパンフェスタでは、総数1万個以上の各地の人気パンが用意されるという。何だかカレーパンが盛り上がっているらしい。

 ▽4500個

 東京都の行政書士佐藤絵里さん(53)の1日は、カレーパンの朝食で始まる。数軒のパン屋を回ってまとめ買いし冷凍保存している。霧吹きなどで水をかけてオーブントースターで温めれば、作りたてを思わせるおいしさだという。「手軽に食べられ、ボリュームもあって満足できます」と佐藤さん。

 10年ほど前から、食べたカレーパンをブログで紹介。自宅から自転車で行ける範囲の店のカレーパンを制覇した後は、電車を乗り継いで東京近郊へとエリアを広げている。食べた総数は4500個を超えた。

 佐藤さんによれば「ブログを始めたころは、揚げるか焼くかのほかは、ゆで卵入りとか野菜がトッピングされているなどの違いがある程度でした。最近は、形も中身も種類が増え続けています」という。

 ▽無数の組み合わせ

 例を挙げていただくと、形はラグビーボール形、円形、正方形、三角形のほか、スティック状やバナナ形、上部を少し開いて中身を見せるつぼみ形も。

 中身はビーフ、ポーク、チキン、野菜、キーマカレーのほか、グリーンカレー、バターチキンカレー、パクチーカレーなどエスニック系も次々登場。これらの組み合わせが、さらに揚げられたり焼かれたりして無数に広がっているそうだ。

 それにしても。佐藤さんのこの情熱、ただ者じゃない…と思ったら、4年前に有志で結成した「日本カレーパン協会」(東京・港区)の会長を務めているのだという。

 同協会は現在賛同者約2400人。日本一を決めるカレーパングランプリをネット上で実施しているほか、グランプリ選考の中で話題になったパンを集めた博覧会や販売フェスタなども展開している。

 19日から東京・池袋で開かれる「春のカレーパンフェスタin池袋西武本店」もプロデュースする。25日までの7日間で総数1万個以上のカレーパンが用意されるイベントだそうだ。

 ▽生誕90年

 「パンもカレーも日本人は大好き。カレーパンは和食だと思っています」と佐藤さん。

 発祥には諸説あるそうだが、同協会がルーツと見るのが、東京都江東区の「カトレア」が1927年に実用新案登録した「洋食パン」だ。

 5代目の中田豊隆さんによれば、前身の「名花堂」時代、2代目の豊治さんが当時の洋食ブームの中心メニューだったカレーライスとカツレツから考案。カレールーをパン生地の中に入れ、カツレツのような楕円形に仕上げ、衣を付けて油で揚げたという。

 現在「元祖カレーパン」は1個194円(税込)。平日には約800個、遠方からの客も多い土曜日には1200~1300個も売れる人気ぶりだ。

 実用新案登録から90年。同協会はこれを「カレーパン生誕90年」として記念し、活動の幅を広げようと一般社団法人に移行した。これまでイベントは東京中心だったが、今後は全国からの開催依頼に応じた企画も検討している。

 さらに「東京五輪に向けて、海外にもおいしい手軽なスナックとしてアピールしたい」と佐藤さん。世界進出を狙う考えだ。(共同通信=小森裕子)

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