浦和ユースの10番を背負う逸材、シマブクカズヨシ「18歳になったら決断しなきゃいけない」

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 苦笑いが帰ってきたのは、シマブクカズヨシが今季から背負うことになった「浦和レッズの10番」について訊いたときだ。
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「いや、全然軽くないです。重いです」
 
 託された番号はもちろん、大槻毅監督を始めとする浦和レッズユース首脳部からの期待の表われである。柔軟なタッチと俊敏な身のこなしを活かしたドリブル突破を最大の武器とするテクニシャンに対し、チームが期待するのは、ゴールを奪える選手になること。
 
「(10番を付けるということは)いざというとき、チームが苦しいときに点を決められる選手にならないといけない。そのプレッシャーもあります」
 
 その顔に浮かぶのはやっぱり苦笑だった。指揮官からは「どんどん点を取りに行け」とつねに言われるそうで、そのプレーがハマったときの破壊力は絶品なものがある。
 
 今季開幕前に行なわれた親善大会のイギョラカップ決勝(矢板中央戦)では、目の覚めるようなビューティフルシュートを突き刺し、観衆の度肝を抜いてみせた。本人も「あれはひとつの理想形」と語る納得の一発である。
 
 大槻監督は「ああいうゴールは結構“出せる”選手」と言いつつ、それゆえに攻守でアグレッシブさを欠く時間帯ができてしまうもどかしさも、感じているようだった。高円宮杯U-18プレミアリーグ第2節のFC東京U-18戦でも、アクティブな仕掛けでチャンスを作る場面があった一方で、弱気なプレーが顔を出すシーンもあった。
 
「もっともっといいテンポで攻撃できたし、自分はパスで逃げちゃうプレーをしていた。もう一歩仕掛けて、ゴールを取りに行かなきゃいけなかった」
 
 課題だったハードワークの部分は大槻監督に怒られながら、ユースでの3年間を通じて着実に向上してきた。ただ、その背番号にふさわしい“怖い”選手になるためには、もうひと伸びが必要だ。
 

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 聞き慣れない響きと字面の珍しい名前から分かるように、出身は異国にある。
 
 南米のペルーが、シマブクにとっての故郷だ。一方で、どことなく日本名を彷彿とさせるのは、彼が日系人だから。「お父さんのおじいちゃんが沖縄のひとだったんです」(シマブク)。その縁もあって、父親は日本で働くことを選び、「赤ちゃんの頃から埼玉人です」という育ち方をすることとなった。そんなシマブクが、浦和のユニフォームに憧れたのも自然な流れだった。
 
 そしていま、ひとつの選択を迫られている。つまり、自分が目ざすのはペルー代表なのか、それとも日本代表なのか。父親からは、こう言われたそうだ。
 
「それはお前が自分で決めるしかないことだ」
 
 日本の大地で育ったサッカー選手として、あの青いユニフォームに惹かれる気持ちは当然ある。一方で、両親が生まれ育った「ペルーが嫌なんてことはまったくない」のも確かな気持ちだ。
 
「18歳になったら、どちらにするか決めなきゃいけないと言われている」
 
 7月29日、シマブクは18歳になる。人生を左右する大きな決断になることは間違いない。ただ、最終的にどちらを選ぶにしても、夢は大好きなサッカーで明確に描いている。
 
「プロサッカー選手になって、いずれ海外でも活躍できるくらいの選手になる」
 
 憧れる選手はコウチーニョやエデン・アザール。ドリブルで相手を切り崩し、ゴールも奪っていくワールドクラスの動画は、何度も観てきた。彼らのようにゴールを決め続けて、自分の道を切り拓く。いま、シマブクが夢の実現のために考えているのは、まさにそのことだけだ。
 
取材・文:川端暁彦(フリーライター)

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