前川国男作品 観光資源に ゆかりの8都県市が協議会結成

画像前川国男さんが手掛けた新潟市美術館=19日、新潟市中央区西大畑画像

 新潟市出身の建築家で、近代建築の旗手・故前川国男さんが手掛けた建築作品を観光資源にしようとする動きが全国に広がっている。晩年の作品の新潟市美術館がある新潟市や青森県弘前市など、前川さんが手掛けた公共施設を持つ8都県市が昨年「近代建築ツーリズムネットワーク協議会」を結成。情報発信や各地を巡るツアーの提案などで観光客誘致につなげる狙いだ。

 前川さんに注目が集まるのは2016年7月、国立西洋美術館(東京)が世界文化遺産に登録されたのがきっかけ。設計者ル・コルビュジエの弟子だった前川さんも設計に深く関わっていたため、改めて評価が上昇した。

 前川さんの建築作品を核に、近代建築で観光客を呼び込もうという機運が地方でも高まり、16年11月に近代建築ツーリズムネットワーク協議会が結成された。市庁舎や市民会館など前川さんが設計した八つの施設が残る弘前市が他の自治体に呼び掛け、新潟市のほか東京都、埼玉県、神奈川県、岡山県、熊本県、福岡市が賛同した。財源には観光庁の支援金を充てる。

 17年2月には前川さんの代表作の一つ、東京文化会館(東京)で第1回の総会が開かれ、8都県市の代表者が共同イベントや専用ホームページの作成といった今後の方針を話し合った。参加した新潟市国際・広域観光課の寺尾公酉課長補佐は「『前川建築』を足がかりに、日本の近代建築を巡る旅の提案が最終目標」と話す。

 本県には、前川建築が三つあるが、出身地の新潟市には市美術館しかない。同館はオリーブ色の外壁タイル、入り口や常設ロビーの空色の天井が特徴だ。

 学芸員の松沢寿重主幹は「前川さんは建築の世界では教科書的な人だが、一般の認知度は低く、出身地の新潟でもそれほど高くない」と指摘する。情報発信の強化を課題に挙げ、「前川さんの父親は大河津分水の調査、設計に携わっていた。親子2代で新潟に関わっていたというストーリーで打ち出していきたい」と語った。

<まえかわ・くにお>1905~86年。新潟市生まれ。近代建築の巨匠ル・コルビュジエらに師事し、戦後の日本建築界をけん引した。代表作に東京文化会館、東京都美術館など。本県には新潟市美術館、長岡市北部体育館、長岡ロングライフセンターがある。

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