イチロー凱旋試合の一発に自分を“ツネッた”!? 地元メディアに心境語る

古巣凱旋試合の最終戦で劇的な本塁打を放ったマーリンズのイチロー外野手。セーフコ・フィールドを熱狂させた一発を、本人が驚きをもって振り返る様子を地元紙「マイアミ・ヘラルド」電子版が報じている。

今季初本塁打を放った、マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

古巣本拠地の第4打席で今季初本塁打

 古巣凱旋試合の最終戦で劇的な本塁打を放ったマーリンズのイチロー外野手。セーフコ・フィールドを熱狂させた一発を、本人が驚きをもって振り返る様子を地元紙「マイアミ・ヘラルド」電子版が報じている。

 19日(日本時間20日)に行われたマリナーズ戦。イチローはかつての本拠地で行われた一戦で「9番・ライト」で先発出場し、3-4で迎えた4回1死走者内なしの第2打席で左前安打をマークした。そして6点を追う9回の先頭で迎えた第4打席ではファンから「イチローコール」の大歓声を浴びる中、右腕マーシャルの真ん中高めへの直球をフルスイング。右中間へ今季1号ソロを突き刺した。

 直後、ベテランは颯爽とダイヤモンドを走り抜けると、ダグアウトの上で大喜びするファンに優雅に手を挙げ、「サンキュー」と短く感謝の気持ちを表明。満面の笑みでレジェンドを待ち受ける同僚の祝福にも応えた。

 クールな印象が際立ったイチローだが、試合後、地元メディアには自身もその一発に驚いたことを明かしている。

“忘れられない特別な1本”に

「打球がフェンスを越えるのを見た時には、これが本当に起きたのか確認するために自分をツネりました。有難く思います」

 記事の中でイチローはそうコメントしている。

 自身、メジャー17年連続の本塁打で通算115本目。オリックス時代から数えれば、プロ2年目の1993年から続く偉業で、日本人選手としては谷繁元信(26年連続本塁打)に次ぐ2位タイ(25年連続・野村克也)となった。

 また、セーフコ・フィールドでは54本目。記念すべき凱旋試合の3連戦最終戦で放ったホームランにスタンディングオベーションも巻き起こった。この光景はイチローの脳裏にも深く刻まれたようで、本人は記事の中で「順位はつけることはできませんが、これは間違いなく、ずっと忘れられないでしょう。忘れられない特別な1本になるでしょう」と語っている。

 また、記念のボールは本人に戻され、打球をキャッチしたファンにはサインボールをプレゼントしたという。

“セーフコ・フィールドでの最終打席”の声を一蹴、「戻ってきたい」

 今回の遠征では、マーリンズ移籍後初めて古巣の本拠地でプレー。その最終打席で放った本塁打に地元メディアからは“これがセーフコ・フィールドでの最終打席の可能性”との声も出ているが、イチロー自身にはそんな感慨は微塵もないようだ。

「僕はそんな風に考えたりしません。戻ってくると思いますよ。次、いつここで試合が行われようが、僕は戻ってきたいですね」

 イチローはそう語ったという。

 現在、43歳。年齢的にはメジャーの野手で最年長に位置づけられているが、50歳まで現役を継続する意欲を見せている本人にとってみれば、まだまだチャンスはあるとのことなのだろう。千両役者ぶりを見せつけたレジェンドはまたいつの日かセーフコ・フィールドを熱狂の渦に巻き込んでくれそうだ。

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