「四賢婦人」の半生 元荒尾市議の中尾さん出版

画像益城町に生まれた矢嶋楫子姉妹の評伝を自費出版した中尾富枝さん=荒尾市

 荒尾市の元市議で女性史研究者の中尾富枝さん(77)が、現益城町に生まれて明治・大正を駆け抜けた姉妹の評伝「矢嶋楫[かじ]子姉妹とその周辺 肥後の猛婦再考」を自費出版した。女性の地位向上に奔走し、時代を代表する言論人らを育てた女性たち。熊本地震の被災者に向けて「猛烈に生きた郷里の先人のエネルギーに触れ、苦難を乗り越えてほしい」との願いを込めた。

 熊本女学校の創設者の三女順子、徳富蘇峰や蘆花の母の四女久子、横井小楠の妻となった五女つせ子、東京・女子学院初代院長に就いた六女楫子。惣庄屋の矢嶋家に生まれ、後に「四賢婦人」と称された姉妹の波乱に満ちた半生や、その時代背景を克明に記している。

 中尾さんが姉妹に関心を持ったのは約40年前。熊本市の古書店を回り、益城町の資料館も訪ね歩いて、衣装ケース2個分の資料を集めた。荒尾市議を引退した2015年に執筆を本格化。原稿が佳境に入った昨年4月、熊本地震が発生した。

 東日本大震災の被災地、宮城で生まれ育った中尾さん。益城町の状況が人ごととは思えず「自分にできることは、この本で被災者を励ますこと」。執筆途中に脳梗塞を患った体に力がみなぎった。

 ことし3月、出版にこぎ着けた本のあとがきには、こう記した。「彼女たちの旺盛な生命力と活力の源であったであろう生誕の地の一日も早い復活を祈念してやまない」。益城町の仮設住宅への本の寄贈を計画している。(原大祐)

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