【溶接協会、レーザ技術でシンポジウム】〈フジクラ・金田氏が講演〉高出力ファイバレーザ溶接・切断、「優れたビーム品質と高電気変換効率が特長」

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日本溶接協会のレーザ加工技術研究委員会はこのほど、「レーザ加工技術の基礎・応用と最新動向」のシンポジウムを開催。そのなかで、フジクラの金田恵司氏による「ファイバーレーザ発振器の開発とその応用」を紹介する。同講演は、同社が保有する純国産高出力ファイバレーザの特長・機能・製品のラインアップなどについて説明した。

 ファイバレーザは、優れたビーム品質と高い電気変換効率の特長を持ち、厚板の切断など鉄鋼業界の製造工程で広く普及している。そのほか、自動車・建築・医療などの分野に幅広く活用されている。また、高出力ファイバレーザを活用した新しいレーザ加工による応用分野の創出の可能性がある。

SRS光を抑制したフジクラのファイバーレーザ製品

 高出力半導体レーザと増幅用イッテルビウム(Yb)添加コアダブルクラッドファイバを組み合わせた高出力ファイバレーザは、炭酸ガス(CO2)レーザや固体レーザのイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザと比べ、ビーム品質だけでなくエネルギーやスペース効率などの優位性をもつ。また、レーザの総合的な効率を表す性能指数のひとつにウオールプラグ効率(商用電源からレーザ光までのエネルギー変換効率)があり、CO2レーザやYAGレーザが約10%であるのに対して、典型的な高出力ファイバレーザは約28%(高出力ファイバレーザ装置全体では約38%)と、非常に高効率なレーザ加工が可能。そして、被加工材料上でのレーザの照射パワー密度を上げることができるため、アルミニウムや銅など、従来のレーザでは加工が困難であった材料の溶接・切断が可能となる。

 高出力ファイバレーザによるさまざまな材料加工が普及する一方で、加工物からの反射光に対する耐性が弱いことが問題となっている。反射光耐性を妨げる最大の要因は、ファイバ内で発生する誘導ラマン光だ。高出力ファイバレーザでは出力光に誘導ラマン錯乱(SRS)光が含まれる。このSRS光によってレーザ出力が不安定になり、加工効率の低下や機器の故障にもつながる。そのため、SRS光の抑制が高反射材の加工における安定動作の鍵となる。

 フジクラは、ファイバ設計や構造パラメータなどの生産技術の最適化を図り、SRS光を抑制した安定的なレーザ出力特性を実現した。この技術で、同社のファイバレーザは加工ヘッドを垂直に設置しても、加工物からの反射にほとんど影響されず、安定した加工が可能となった。加えて、同社のすべての製品には、フォトダークニング(光ファイバ損失の増加)抑制技術を採用している。また、同社は加工効率の高い8キロワットシングルモードファイバレーザなどの新型ファイバレーザ技術をもった製品を開発。そのほか、佐倉事業所(千葉県佐倉市)では基幹部品のすべてを開発している。

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