国有地の払い下げで政治問題に発展している(学)森友学園が民事再生法申請

 小学校予定地の国有地払下げ問題などで前理事長が国会に証人喚問された(学)森友学園(TSR企業コード:571387365、法人番号:3120005004758、大阪市淀川区塚本1-6-25、設立昭和46年3月18日、資産総額8億7984万円、理事長:籠池町浪氏)は4月21日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は中井康之弁護士(堂島法律事務所、大阪市中央区北浜2-3-9、電話06-6201-0361)。
 負債総額は現在調査中ながら約20億円が見込まれる。
 学校法人の倒産は26年5月以来、2年11カ月ぶりに発生した。なお、平成に入ってからの学校法人の倒産は73件で、幼稚園経営では過去3番目の規模。

 昭和25年4月創業、「塚本幼稚園幼児教育学園」を運営。同幼稚園は46年3月に幼稚園では全国で初めて学校法人格を取得したとホームページで説明している(文科省及び大阪府では事実確認できないと回答)。
 愛国心を育む目的で毎朝、園児に教育勅語の朗唱や国歌斉唱をさせる独特な教育方針で知られていた。平成28年3月期は売上高5億5620万円を計上し、系列校として小学校建設計画を打ち出し、29年4月開校予定で「瑞穂の國記念小學院」(大阪府豊中市)の建設を進めていた。
 29年2月、小学校建設予定地の国有地が安価で払い下げられていることが発覚。小学校開設の認可や予定地払下げに絡み、安倍首相や昭恵夫人、政治家、役人らの関与疑惑が浮上し、3月23日に籠池泰典前理事長が国会で証人喚問される事態に発展していた。
 それに先立つ3月10日、小学校の認可の見通しが薄く運営している幼稚園への影響も考慮して申請の一時取下げを表明、12日に財務省が更地の土地返還を求める方針を発表していた。また、21日には国土交通省が小学校校舎に関する補助金交付の取消しを決定し、給付済みの5650万円を30日までに返還するよう命じていた。
 3月15日には小学校建設を受注していた藤原工業(株)(TSR企業コード:571004563、法人番号: 4120901009982、吹田市)が、建設費用約15億円のうち、支払期限が到来した未払い金約4億円について、学校法人名義の幼稚園不動産や元理事長自宅に仮差押登記を設定した。その後も工事代金は支払われないまま、新たに各種補助金の不正受給も表面化していた。
 関連法人として、森友学園前理事長の籠池康博氏が理事長で、「髙等森友学園保育園」を運営する社会福祉法人肇國舎(TSR企業コード:576251240、法人番号:2120005011945、大阪市淀川区塚本4-7-8、登記上:同市淀川区塚本1-6-19、設立平成21年10月22日、資産総額7887万7584円)と、南港さくら幼稚園を運営していた(その後、開成幼稚園幼児教育学園に変更し現在休園中)(学)籠池学園(旧:(学)南港桜学園、TSR企業コード:571390862、法人番号:8120005004712、大阪市住之江区南港中5-1-6、設立昭和57年3月15日、資産総額1億4669万円、理事長:籠池康博氏)がある。

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