【駅伝】注目のランナー(中)

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息子のため再び復帰—武田郷史(米沢) 米沢の武田郷史(32)=かわでん=は走ることを2度、あきらめた。1度目は城西大2年で初めて臨んだ東京箱根間往復大学駅伝。不本意な結果に完全に自信を失った。就職で地元に戻ると、県縦断駅伝を走ったが、仕事と練習の両立は想像以上に難しく、2012年に2度目のピリオドを打った—はずだった。

 5年ぶりに武田を駅伝へと引き戻したのは、引退から1年後に産まれた長男の存在だった。「何かに打ち込む父親の背中を見せてやりたい」。それ以来、仕事帰りで疲れた体にむち打って、3年間ひたすら距離を踏み、今大会に備えてきた。情野勇二監督は「今の武田なら、どんな強い向かい風でも前に進める」と太鼓判を押す。

 復帰前最後の出場となった12年は南陽・東置賜の一員として走り、今に続く総合5連覇の礎を築いた。今回は近年低迷が続く米沢のたすきをつなぐ。「家族やチーム、地元のために力の限り走りたい」箱根経験、鍵握る新人—石井辰樹(天童・東村山) 昨年、箱根駅伝に初出場した東京国際大で9区を務めた天童・東村山の石井辰樹(22)=東北パイオニアEG。大舞台を知る新加入がチーム浮沈の鍵を握る。「区間賞を狙っていく」と意気込む。

 仙台市出身。小学6年時、箱根駅伝で初代「山の神」の快走に衝撃を受け「気付いたら家を飛び出し走っていた」。仙台高2年時は松島ハーフマラソン10キロの部で優勝。伸びしろ十分の走りが東京国際大の総監督の目にとまった。

 父は村山市、母は東根市出身。子どもの頃、休みとなれば祖父母宅を訪れ果樹園や田んぼが遊び場だった。実家仙台近くで走り続けられる職場を探し、中村展人監督からのオファーに即決した。

 大学時代、県縦断のため帰省する部員を見てきて「憧れの大会だった」。2月の東京マラソンに出場。2時間22分台で完走した疲れが取れず、練習再開は今月から。それでも「全然問題ないっす」と調整には自信を持っている。悔しさ糧、中核の自覚—大塚翔太(北村山) 北村山の主軸を担うベテラン勢と練習を重ね、大塚翔太(27)=神町自衛隊=は走力を磨いてきた。中心選手の1人として期待がかかる今大会。「同僚や家族など応援してくれる人にいい走りを見せたい」と意気込む。

 福島県出身。中学で陸上を始め、仲間やライバルに刺激を受けて続けてきた。チーム内では主将の辻村充(33)=東根市役所=ら先輩たちの走りを手本とし、継続して活躍できる選手を目指している。

 北村山が総合3位に終わった前回大会、最終日最初の第22区(長井—川西)で8位と出遅れ、悔しさを味わった。がむしゃらに走るばかりだった意識を変え、プランや勝負どころの見極めを考えて各種レースに臨んできた。

 中核選手の自覚と責任感も芽生えた。各チームが主力級を投入する重要区間での起用が見込まれる中、「任せられた区間を3位以内で走る」と決意。近づく本番を見据え、闘志を燃やしている。状態は良好、上位導く—菅原翼(酒田・飽海) 酒田・飽海の主将菅原翼(28)=遊佐町役場=は、出場11回目を数える。競技人生を共にしてきた地元の仲間が集う県縦断駅伝への思いは強い。「社会人が長丁場をどう戦うかが勝負の鍵」とチームを上位に導く決意だ。

 25年ぶりに酒田南高が全国高校駅伝に出場した際のメンバー。酒田・飽海と同高を率いる阿部亮監督に遊佐中の野球部時代に見いだされた。以来「やればやるだけ結果が出る」と陸上に魅せられ、恩師とともに走り続ける。

 近年はアキレス腱や半月板のけがに悩まされ、走れない時期もあった。ジョギング中心の練習に変え、県縦断に向けて体を絞り、3月の鶴岡ロードレースで優勝。阿部監督も「大学卒業以来、一番いい状態」と太鼓判を押す。

 0歳と2歳の息子と妻の4人暮らし。仕事や育児に忙しいが、午前5時のジョギングは欠かさない。遊佐町民から声を掛けられることも多く「期待を力に変えたい」。

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