<釜石津波訴訟>「許し難い判決」遺族憤り

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記者会見で地裁判決を批判する原告弁護団

 「許し難い判決だ」。東日本大震災の釜石市鵜住居地区防災センター津波訴訟の判決で盛岡地裁は21日、原告の訴えを退けた。妻=当時(31)=を亡くした原告の男性(47)は判決を聞いた後、表情をこわばらせ、無言で地裁を後にした。

 センターに隣接する市立幼稚園の臨時職員だった妻は当時、妊娠9カ月だった。生まれてくるのが女の子と分かり、夫婦で名前も決めていた。

 誕生を心待ちにしながら出産休暇前の最後の勤務日、妻は津波の犠牲になった。男性にとって最愛の命が二つ、散った。

 判決後、記者会見の席に男性の姿はなかった。弁護団によると、市の主張を一方的に認めた判決に憤り、非常に落胆していたという。

 「主張が一切認められなかった。亡くなった162人の命の重みを考えない不当な判決だ」との談話を出し、近く控訴して市の責任を問い続ける。

 市と遺族団体の共同調査は、センターに196人が逃げ込んだと推計した。弁護団は「判決では(亡くなった2人は)個人の判断でセンターに避難したとしているが、なぜ200人近い住民が逃げ込んだのか。非常に矛盾がある」と指摘する。

 「広報誌やホームページで避難場所を通知していれば、住民の誤解があっても許されると受け止められかねない」と、今後の地域防災の在り方に強い懸念を示した。

 一方、野田武則釜石市長も盛岡市で記者会見し「主張は認められたが、センターで多くの犠牲が出た事実を重く受け止めている」と述べ「今回の教訓を検証し、悲劇を二度と繰り返さないように市民の命を守る努力を続けたい」と誓った。

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