社説(4/22):天皇退位最終報告/特例法ありき苦慮にじむ

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 最後まで政府が敷いた「レール」に沿ってまとめたと言わざるを得ない。天皇陛下の退位を巡る有識者会議の最終報告である。

 退位後の制度設計に皇室典範改正を念頭に置かず、「陛下一代限りの特例法ありき」ゆえの苦慮がにじむ。たとえ外観は整った形をしていても、つぎはぎでつくろった印象は拭えない。

 天皇陛下が退位された後の呼称(称号)は「上皇」、皇后さまは「上皇后(じょうこうごう)」と提言した。皇太子さまが象徴としての行為を全て引き継いで新天皇になった後、皇位継承順1位となる秋篠宮さまの称号や処遇が焦点だった。

 皇室典範は「皇嗣(こうし)たる皇子(おうじ)を皇太子という」と定めている。「皇嗣」とは皇位継承順1位にある者、「皇子」は天皇の子を指すとされる。

 秋篠宮さまは今の皇太子さまのお子さまではないため、皇太子になれない。皇室典範に従うなら、皇太子さまの即位後は新たな皇太子は不在ということになってしまう。

 皇統の安定を考えれば、秋篠宮さまを名実ともに皇太子と位置付けるための皇室典範改正に向き合うのが本筋だ。にもかかわらず、最終報告はその旨を盛り込まなかった。

 秋篠宮さまの宮号は維持したまま「皇嗣殿下」などの呼称を例示し、皇太子並みの待遇にした。歴史的な「皇太弟(こうたいてい)」を推す案もあったものの、皇室典範改正が前提になるためか、退けられた。

 国民の立場からすると、皇嗣という呼称はなじみがなく分かりにくい。どれだけ浸透していくのか疑問だ。「その場しのぎ」と受け取られても仕方がないのではないか。

 何が何でも皇室典範の改正を避けようとしたのは、安倍晋三首相の支持基盤である保守層に抵抗が強いことと無縁であるまい。

 喫緊の課題である皇族数の減少対策についても、同様の背景が透けて見える。末尾で「速やかに検討を行うことが必要」と記述するにとどまり、女性の皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家の創設」や「女性・女系天皇」などへ具体的に踏み込まなかった。

 安倍首相が「男系継承が古来例外なく維持されてきた重みを踏まえつつ、安定的な皇位継承の維持について検討したい」と慎重な答弁をしたことへの配慮がうかがえる。

 しかし、皇室の現状を見れば、皇位継承が危ぶまれる状況にあるのは明らかだ。

 皇太子さま、秋篠宮さまより若い未婚の皇族8人のうち、皇位継承資格がある男子は秋篠宮さまの長男である悠仁さまだけで、あとは全て女性である。女性宮家をつくり、皇室の活動を支えていくしか道はないのではないか。

 国会は先に天皇陛下の退位を巡る見解をまとめた。その中で明記した通り、女性宮家の創設などを今後の特例法の付帯決議に盛り込むべきだ。先送りはもう許されない。

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