古代の中心地感じて 川崎・影向寺に国史跡記念碑

 川崎市宮前区野川の影向(ようごう)寺に4月、同寺を含む橘樹(たちばな)官衙(かんが)遺跡群が国史跡に指定されたことを記す記念碑が設置された。国史跡は同市内で唯一。同寺は「行政、文化の中心だったこの地域の歴史を感じてもらえれば」と願いを込める。

 同遺跡群は宮前区野川と高津区千年周辺にまたがる約1万2千平方メートルに点在。古代史解明につながる貴重な遺跡であることから2015年3月、国史跡に指定された。

 指定を受け、同寺の重要文化財・史跡保存会(小泉一郎会長)の役員ら約70人が約2年がかりで建立した。記念碑は高さ約1・5メートルで、境内入り口に今月16日、設置された。

 同市教育委員会文化財課によると、同遺跡群からは8世紀初頭に設置された行政機関の橘樹郡衙(ぐんが)跡と、7世紀末ごろに創建されたとみられる影向寺遺跡が見つかっている。同郡衙跡は現在、「たちばな古代の丘緑地」(高津区千年字伊勢山台)などになっている。

 加藤浩照住職は「遺跡群については解明されていない点も多く、いまも調査が進んでいる。記念碑は子どもたちの世代に歴史を伝えてくれる」と話している。

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