W杯、五輪に向け仕上げ 黒岩・神奈川県知事に聞く

 2期目の任期を折り返した黒岩祐治知事は、神奈川新聞社のインタビューに応じ、これまでの県政運営を振り返るとともに、残り2年の任期で注力する分野や思いを語った。「政策の骨格を磨き上げ、形にしていく」2期目。2019年ラグビーワールドカップ(W杯)や20年東京五輪・パラリンピックの開催に向けて着実に準備していく考えを示した。

 −2期目の前半2年間をどう振り返るか。

 「神奈川から日本を変える『神奈川モデル』が具体の形になり始めた。保育士不足に対応するため、国家戦略特区を活用した地域限定保育士試験を県が提案して認められた。保育士試験も年2回になった。制度そのものが変わったのが大きな手応え。さらに、家事支援サービスで外国人労働者を県内で受け入れる取り組みも始まっている。『未病』が国の健康・医療戦略に盛り込まれたのも大きな質の転換だ」 −一方で、課題は。

 「さまざまあるが、例えば太陽光発電の普及だ。原発事故直後にエネルギーの問題を打ち出し、そこから太陽光発電普及の流れができ、神奈川発のエネルギー革命は起きた。しかし県内では思っていたほどのペースでは進んでいない。土地の値段が高く、大規模なパネル設置ができないなど神奈川特有の問題もあり、今はエネルギー自立型の家や街づくりに注力している」 −知事の肝いり施策以外の部分は見えづらい。例えば広域行政やごみの問題への取り組みはどうか。

 「県の仕事の全ては私が掲げる『いのち輝く』『マグネット』に凝縮される。小田原と南足柄両市の合併協議も地元が決めることで、県がああだこうだ言う問題ではない。ごみも基本的には基礎自治体の話で何か起きた時に調整に入るのが県のポジション。向かう方向を明確にし、旗を振る。当然いろいろな旗は振るわけで、無視している分野があるとは思っていない。そうした指摘を謙虚に聞こうと思っているが、思い当たるふしがあまりない」 −職員のモチベーションをどう高めていくのか。

 「若手職員からどんどん提案が出てきている。庁内向けの広報も意識し、職員に向けたメッセージも出している。県税徴収率の向上など、成果を上げた職員をそこで紹介しており、頑張れば報われるという形を意識している」 −残り2年の抱負は。

 「何か新しく取り出してやることは考えていない。今までやってきた基盤をしっかりと形にしていく。ラグビーW杯、五輪のカウントダウンが始まる2年でもある。そこに向けて仕上げていくのが最大の課題だ」=インタビューの詳報はカナロコに

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