夢かなえ、鹿沼にチョコ店 角膜移植受けた上原さん

栃木県アイバンク40年

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「献眼者のおかけで今がある」と語る上原さん。角膜移植後に開業した店は常連客も多い人気店となっている

 県アイバンクは40年間、目が不自由な人の人生に明かりをともし続けてきた。移植を受けた人は人生観が変わる人も少なくない。鹿沼市中田町でチョコレート専門店を営む上原晋(うえはらすすむ)さん(48)もその一人。移植により「人生で初めて前を向けた」。上原さんは幼い頃の夢をかなえ、献眼者への恩返しの気持ちを抱きながら、日々仕事に励んでいる。

 群馬県で生まれ、先天性の強度近視と診断された。眼鏡で矯正できず、すぐに転ぶ。教室の黒板に書かれた文字が見えない。勉強どころではなかった。「人に迷惑を掛けないよう自然と引っ込み思案になった」

 21歳の時、テレビで見た「近視が治る手術」に飛びついた。両眼に手術を受けたが、左目の角膜は濁ってゆがみ、視力はほぼゼロに。以後10年間、頼りは視力0・03の右目だけだった。

 その間、ファストフード店の社員になり、異動で本県に移り住んだ。たまたま獨協医大病院を受診し、県アイバンクを通じた角膜移植を受けることができた。

 術後間もない病室で脳裏をよぎったのは、初めて来県した際、その美しさに衝撃を受けた宇都宮市のカトリック松が峰教会の建物。お菓子屋になりたいとの幼少期の夢と重ね合わせ、教会外壁の大谷石をモチーフにしたチョコを作ることを決意した。

 修業を経て、08年に自身の店をオープン。店名を「アカリチョコレート」とした。いまそのチョコは「大谷の石畳」という名の看板商品になっている。

 「献眼者のおかげで今がある。そのご家族から献眼して良かったと思ってもらえたらうれしい」。上原さんはその一心で、チョコを作り続けている。

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