千年超存続集落 行方認証、住環境を評価

持続の要因分析へ

画像霞ケ浦(写真奥)周辺では古くから漁業や農業が盛んに行われている=行方市小高

千年を超えて存続する集落を調査し、防災や地域づくりに反映させる「千年村プロジェクト」が全国で広まっている。2011年の東日本大震災後、全国の大学や建築家らでつくるメンバーが現地調査を開始。地質や地形のほか、産業や交通が発達した歴史など、該当集落の持続要因を分析する。本県では、古くから漁業や農業で栄えた霞ケ浦周辺が注目され、行方市が県内で初めて千年村の認証を受けた。 (行方支局・三次豪)

同プロジェクトは、東日本大震災で津波被害の惨状を見た建築学の研究者らが、建築物の無力さを痛感したことがきっかけ。代表の一人、早稲田大創造理工学部建築学科の中谷礼仁教授(52)は発足の意義を語る。

「被災しても壊れなかったということは、地質や地形など住環境がバランスが取れているということで、それらの調査には今後、日本の村がどういう条件であれば持続可能なのかヒントが隠されている」

千年村の候補選びは、平安時代に編さんされた、全国約4千の郷名が記された辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅじょう)」を使用。現代の大字などの地名と照らし合わせ、存続する集落をリストアップした。約半数の2千カ所が該当し、多くは沖積平野の境目周辺や水系にあることが分かった。

■霞ケ浦周辺に集中
千年村の候補地は関東1都6県で366。千葉県や本県内に多く分布し、霞ケ浦周辺に集まっていた。同プロジェクトが最初に注目したのは行方市。霞ケ浦と北浦に挟まれ、約1300年前の地誌「常陸国風土記」でも記載が多い。メンバーは昨年7月に現地調査を行い、霞ケ浦湖畔に多く点在する古墳や、その周辺で漁業などを営む住民を取材。地元住民を集めた調査報告会も開き、同市を全国8番目、本県初の千年村として認証した。

行方市について中谷教授は「水があり水辺があり、平野も山もあって環境条件がとても豊富。昔から人々が住む理由が分かる」と評価。「霞ケ浦の水上交通の再生ができればさらに素晴らしくなる」と話した。

■多くの人に郷土を
郷土が外部の目で見直されたことに、地元住民も喜ぶ。同市荒宿で代々造船所を営む田上勇一さん(55)は「歴史も自然も豊かだが、意外と地元の人も感じていない。古いものを見つめることが大切」と語り、「認証を機に多くの人に郷土を知ってほしい」と期待を寄せる。

同プロジェクトはロゴマークを作成。今後、千年村同士のシンポジウムなど交流も企画している。

★千年村プロジェクト
千年以上の長期にわたり、度重なる自然的社会的災害・変化を乗り越えて生産と生活が持続的に営まれてきた集落・地域を「千年村」と認定するプロジェクト。メンバーが全国各地で収集、調査、公開、顕彰、交流するための基盤整備として構想された。メンバーは建築史学や社会環境工学、造園学、景観デザイン、民俗学、歴史地理学などに携わる研究者ら。自発的意思で結成される。

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