<再ブレーク盤> 高橋洋子『YOKO SINGS FOREVER』 歌声の振り幅の大きさに感服

高橋洋子『YOKO SINGS FOREVER』

 25周年記念アルバム。不朽の名曲『残酷な天使のテーゼ』だけでは評価できない名歌手ぶりがよく分かる作品だ。

 本編の全16曲は、シングル基準ではなく、歌手としての様々な“勝負作”が並ぶ。アンドレ・ギャニオンや千住明の旋律に乗せたピースフルな歌声と、『夜明け生まれ来る少女』や『蒼き炎』など『残酷~』と勝るとも劣らないダイナミックな歌声の振り幅の大きさに感服する。特に後者は、八神純子や平原綾香らが好きな、アニソンに縁遠い人にもオススメ。

 後半4曲の新録音はどれも現役感が漲る。特に、まらしぃや武部聡志による鍵盤楽器演奏での『残酷~』と『魂のルフラン』は、静寂と情熱を対比した緩急の大きな歌声で圧巻。歌がそのまま彼女の生き方だと確信した。

 ゆかりのある人物によるコメントも絶賛の嵐だし、ボーナスで収録された“金のごまだれ”に合わせた『恋におちて』の替え歌など2つのCMソングも侮れない。本作を聴けば、何かに挑み続ける勇気がもらえるはず。

(ユニバーサル・3000円+税)=臼井孝

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