がん患者支援のリレー

熊本市で啓発イベント

 「がん患者は24時間、がんと闘っている」。米国人医師が30年以上前に発したメッセージをきっかけに、今では世界に広がった「リレー・フォー・ライフ」が先週末、熊本市中央区の白川公園で開かれた。患者支援の啓発イベントで熊本開催は7回目。サバイバー(がん体験者)や医療関係者ら約千人が代わる代わる、園内を24時間歩き続けた。

 がんは、日本では高齢化に伴って発症が増え、2人に1人が一生の間にかかるといわれる。生存率も上がっているが、発症すれば患者らの衝撃は大きい。イベントでは、サバイバーが体験を吐露した。

 「(がんが進行した)ステージ4で『生きられないがん』と告げられた」。大分市の元会社員、浪野裕康[ひろやす]さん(61)は11年前、甲状腺未分化がんと診断された。その後、闘病しながら各地のリレー・フォー・ライフを巡り、熊本でも6年連続で参加。「がんの人をサポートしたい。旅立つ時に、患者も家族も互いに『ありがとう』と言えるようにしたいから」と思いは深い。

 浪野さんは、熊本市西区河内町で「金峰山がんサロン」を続ける河喜多はるみさん(70)が手作りしたヒマワリのゼッケンを下げて全国を歩いている。そこには「生きる力と希望をいただきました」といった寄せ書きがびっしり。サバイバーらの言葉は、交流の場が生きるエネルギーを互いに得る機会になっていることを実感させる。

 無病息災は何よりだが、「一病」や「二病」であっても健やかに過ごせる環境が求められている。実現には医療体制の整備などと併せ、療養生活の質の向上が大切であろう。現行の県がん対策推進計画は具体策として、患者らが語り合うサロン活動などの「共感的支援」や就労支援の充実を掲げる。リレー・フォー・ライフの精神を広げ、支え合える社会につなげたい。(小多崇)

あなたにおすすめ