【ダイバーシティ経営・鉄鋼業界の取り組み(上)】新日鉄住金、3製鉄所に保育所

大分では24時間保育開始へ

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 団塊世代の引退や少子高齢化の中で働き手を確保し、さまざまな時代の変化やニーズに対応する―。そのためには女性をはじめ多様な人材を活用する「ダイバーシティ経営」が注目を集めている。鉄鋼業界では女性活躍推進をどう図っているのか。その取り組みを追った。(黒澤 広之)

 新日鉄住金・君津製鉄所。雄大な設備群を覆うように広がる緑の一角から、園児たちの笑い声があふれてくる。今春オープンした「かずさみどりのもり保育園」だ。

君津製鉄所に今春オープンした「かずさみどりのもり保育園」。出産や育児期を迎えた社員の就労支援を図る

 同保育園は、2016年に内閣府がスタートさせた企業主導型保育事業。出産や育児期を迎えた製鉄所社員の就労支援策として新日鉄住金が開設し、ニチイ学館へ運営を委託している。定員40人に対し保育士は10人。0歳児も預かるため、基準を確実に満たせるよう配置がなされており、すでに10数人の園児が入園した。

 新日鉄住金は昨年に大分製鉄所で、今春は君津と共に、八幡製鉄所で自社保育園を設けている。高炉メーカーらしい特長が、3カ所とも24時間対応が可能な保育園であること。地方都市でこうした夜間保育を行うケースは少なく、3交替勤務で常時稼働する製鉄所を支える社員が安心して働けるよう備えている。

 君津の保育園では現状、7時半から19時までの受け入れだが、園長先生は「新日鉄住金さんの要請次第で、いつでも夜間保育ができるよう準備しています」と話す。特に0歳児の園児が寝ている時はうつぶせにならないよう絶えず見守る必要があり、1人預かる際も複数の保育士を配置することになるという。

 近く大分製鉄所では夜間に預かるニーズが出てきたため24時間保育が始まる予定だ。

 新日鉄住金の各製鉄所に今春入社した社員のうち、女性は2割ほどを占めている。こうした保育園の設置は「ぜひ職場復帰してほしいという姿勢の表れ」(内田秀治人事労政部人事企画室長)だ。製鉄所で女性の採用が本格的に増え始めてから5~6年たち、出産や育児期を迎えた社員のニーズがまとまってきたことも設置を後押ししている。昨春オープンした大分の保育園は19人の定員がいっぱいとなり、定員を30人に拡大した。

 一方、ものづくりの現場で子育てしながら交替勤務を経験してきたという事例は日本でもまだ少ない。むしろ結婚や出産といったライフイベントを迎える女性社員はこれから本格的に増えてくる。保育園を卒園し小学校へ進学した場合や、第2子を授かった際などで新たなニーズが出てくることも想定され、それをくみ取りどのような就労支援ができるのか、今後も模索が続くことになる。