<公文書>大仙市、東北市町村で初施設

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東北の市町村で初めて設置された秋田県大仙市公文書館

 秋田県大仙市が今月3日に開設した公文書館は、東北の市町村で第1号となる。価値が高い歴史公文書を後世に受け継ごうと、10年をかけて全国有数の規模を誇る施設を整備した。

 「古里の記憶と記録を守る大切な拠点だ」。市西部の山あいにある空き校舎を活用した開館式典で、老松博行市長は強調した。

 市は2005年、8市町村合併で誕生。07年に庁内の各部署に公文書の全量保存を指示し、旧市町村ごとに永久保存すべき文書を選び目録作りを始めた。

 細川良隆館長は「合併に伴う職員の広域異動や行政事務の多様化、書庫が手狭になったことが重なり、地域の記憶が失われると懸念された」と振り返る。

 歴史公文書の一括保存には温度や湿度を管理できる大型書庫が必要になる。市は比較的新しい旧双葉小校舎を書庫や閲覧室、企画展示室に改装した。事業費は約3億5000万円。空き家対策などに使える国土交通省の交付金を使った。

 約27万点を収容できる書庫には民間の古文書も受け入れる。明治期以降、東北三大地主と呼ばれた市内の旧池田家の文書や写真約5000点は、市民ボランティアが解読や目録作りに協力。市東部の観光拠点「旧池田氏庭園」の庭や洋館の復元に生かされた。

 歴史公文書の市民利用が常識となっている欧米では選別・保存の知識を持つ専門職が普及する。一方、日本では養成が始まったばかり。市は、国内で初めて専門職養成に乗り出した学習院大大学院の出身者を新規採用した。

 公文書館は市中心部から車で約30分。利便性の面で課題を残す。市は「予約があればJR奥羽線の最寄り駅まで送迎する」と活用を呼び掛ける。

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