社説(5/19):加計学園文書問題/「総理の意向」はあったのか

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 「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題に続き、学校法人を巡る新たな問題が浮上した。

 安倍晋三首相と親しい友人が理事長を務める「加計(かけ)学園」(岡山市)の岡山理科大獣医学部の新設計画である。

 国家戦略特区を活用した学部開設に当たって、首相の関与をうかがわせる記述のある文書が明らかになった。

 文書について、菅義偉官房長官は「誰が書いたのかも分からない意味不明のもの」と一蹴したが、野党は「事実とすれば、特区制度の悪用、私物化だ」と対決姿勢を強めている。

 学部の設置認可を所管する文部科学省の職員が作成したとされる文書は、民進党が入手し国会で取り上げた。

 特区を担当する内閣府と同省とのやりとりの記録で、内閣府側が「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと、来年4月開設のスケジュールを最優先に認可手続きを進めるよう促す内容だった。

 政府は昨年11月、安倍首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議で獣医学部の新設を長年制限していた文科省告示を見直した。ことし1月には、特区の公募に唯一応募した加計学園の計画を認定した。

 これを受け、立地先の愛媛県今治市議会は3月、学園側に市有地の無償譲渡と施設整備費96億円を助成する議案を可決している。

 今回の文書にある「総理の意向」は、事業の推進を急ぐこうした不自然な流れとも符合している。

 獣医学部が新設されれば、約50年ぶりである。今治市が掲げる「学園都市構想」は1975年の決定から42年を経て動きだした。

 民進党などはこれまでも、「友達を優遇したのではないか」「相談があったのではないか」などと追及してきた。首相はその都度「理事長からの相談はないし、圧力をかけたこともない」「働き掛けていたら責任を取る」と関与を全面否定している。

 ただ、野党から「事実なら内閣総辞職に値する」(蓮舫民進党代表)とまで批判の声が上がる事態は、政治の信頼が根本から問われる重大な局面と言えるのではないか。

 諮問会議議長の首相は、学部新設に絡むこれまでの経過や背景、加計学園の理事長との関係を国民に分かりやすく説明する責任がある。

 文書の存在を問われ「作成された可能性はある。確認したい」と述べた松野博一文科相も、内閣府と実際にどんなやりとりがあったかを速やかに明らかにすべきだ。

 首相の周辺にいる親密な関係者が介在する中で、官公庁が動く構図は「森友問題」と二重写しのように見える。

 仮に首相の真意とは別に、官僚の忖度(そんたく)や入れ知恵が働いていたのだとしても、それで済む話ではない。国会は真相解明すべきだ。

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