<難病幼児殺害未遂>「抱っこして謝りたい」

 難病を患う1歳の三男に手を掛けたとして、殺人未遂罪に問われた被告の母親(42)の裁判員裁判。「抱っこして謝りたい」。初公判で母親は時折涙ぐみながら、心の葛藤を吐露した。

 次男は10年前に同じ難病を患い、4歳でこの世を去った。精神的に落ち込み、三男懐妊の際も胸中は複雑だった。次男の疾患は、25%の確率で遺伝すると聞いたためだ。この難病は通常3~4歳で死亡し、有効な治療法はまだない。

 不安は的中した。同じ難病を発症し、母親は「次男は亡くなった時、苦しそうに顔を引きつらせた。三男が生まれてから、何度も次男のことを思い出して不安だった」と振り返った。

 母親は三男が生まれた後の2015年12月にうつ病と診断され、仙台市職員に「(三男の)口と鼻をふさいでしまいそうだ」と相談した。一時、乳児院に預けた際は情けなさから自殺も考えた。事件は、介護を手伝おうと退職を決めた夫と共に三男の在宅介護を始めた3日後のことだった。

 「痰(たん)の吸引処置をする時、顔を真っ赤にして泣き叫ぶ三男を見ていられなかった。今しかないと思った」

 事件当日の朝、泣き疲れて眠りについた三男の寝顔が次男と重なった。衝動的に口と鼻をふさいだという。三男は18分間の心肺停止を経て、一命を取り留めた。母親は「助かったと聞いても喜べなかった。生き延びることが幸せとは思えなかった」と当時の心境を明かした。

 現在の思いを問われ、母親は声を震わせた。「息を吹き返したのは生きたいって思ったからだと考えるようになった。抱っこして謝りたい。会いたい」

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