【5年連続日本一】県産酒県民の誇りに(5月19日)

 平成28酒造年度の全国新酒鑑評会で、県内蔵元が出品した吟醸酒の金賞受賞数が5年連続日本一に輝き、広島県の最多記録と並んだ。各蔵元はさらに6連覇という未到の高みを目指して切磋琢磨[せっさたくま]を誓っている。敬意を表するとともに今後、県民一人一人が「ふくしまの酒」に誇りを持ち、全国に発信する機運を一層高めたい。

 県酒造組合は4年連続日本一を果たした時点から「5連覇」に照準を合わせてきた。各蔵元の酒造りへの飽くなきこだわり、極上の味を求め続ける向上心の背景には、東京電力福島第一原発事故に伴う風評に「ふくしまの酒」で一丸となって立ち向かおうという強い思いがあった。

 当季の酒米は全国的に硬くて溶けにくく、酒造りの技術が一段と試されたという。そうした中での5連覇は、県内酒造業界全体のレベルの高さを全国の関係者に強く印象付けたに違いない。

 県によると、日本酒の国内出荷量は微減で推移している。一方で、吟醸酒や純米酒などの「特定名称酒」は増加傾向にあり、特に県産酒の伸びは顕著という。品質の高さが着実に浸透している表れと言える。

 県は首都圏でキャンペーンを実施したり、県内の蔵元と国内の流通業者の取引を橋渡ししたりする事業を展開し、消費と市場の開拓に取り組んでいる。県産酒を味わえる東京23区内の飲食店をインターネットで紹介する事業も始めた。今年2月に開設したサイト「日本一のふくしまの酒『福の酒』マップ」の掲載店舗数は200店を超す。

 日本郵便東北支社は県内の金賞受賞銘柄のラベルをデザインした記念切手を1月に限定発売した。県内の金融機関は都内でフェアを開催するなど県産酒を応援する取り組みも広がっている。市町村と蔵元が連携したオリジナル酒の開発などの動きも出ている。「5年連続日本一」を地域おこしにつなげる活動も一層盛り上げたい。酒造りが地場産業として定着し、酒蔵を後押しする力にもなる。

 特定名称酒は普通酒と比べて価格が高く、一般家庭の日常的な飲酒や大人数の宴会などには利用しにくい面がある。酒蔵の経営を安定させる上では普通酒の消費をどう拡大するかも課題だ。

 金賞の味を楽しんだ後は普通酒にも目を向けよう。利幅が小さくても、手塩にかけて仕込んだ酒には吟醸酒とは違った味わいがあるはずだ。地産地消をみんなで推進し、名実ともに全国一の酒どころを目指そう。(五十嵐稔)

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