京都市で認知症の国際会議 ケア「本人重視で」

偏見や無理解が課題

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「認知症という疾患を見るのではなく、その人そのものを見つめよう」と呼び掛けたケイト・スワッファーさん=4月27日、京都市の国立京都国際会館

 認知症への認識を高め、患者や家族が安心して暮らせる社会を築こうと4月末、京都市で国際アルツハイマー病協会国際会議が開かれた。世界77カ国・地域から約3800人が参加。偏見や無理解といった課題や支援の在り方について考え、「本人重視」の視点を確認する機会となった。

 国際会議は32回を数え、国内では2004年の京都大会以来2回目。全体会で同協会事務局長マーク・ウォートマンさん(59)は1980年代以降の世界的な動向を振り返り、根強い患者や家族への偏見などを「解決に至っていない課題」とした。各国の現状を踏まえ、適切な診断に至る環境やサポート、対策資金やサービスが「不足している」と指摘。一方で「当事者との協働態勢」は好転しつつあるとして、「認知症の本人がどう自立できるかが重要」と呼び掛けた。

●人権の尊重

 「認知症という疾患を見るのではなく、その人そのものを見つめよう」。人権の尊重をテーマに講演したオーストラリア人、ケイト・スワッファーさん(58)は聴衆に力強く語った。世界的な当事者団体「国際認知症連合」の創設者で、自身も若年性認知症。認知症ケアの研究者としても、幅広く問題提起している。

 認知症になると、何もできなくなるとみなされがち。「本人の能力が過小評価されている。(支援に当たる)ケアパートナーが全てやってしまうと、そのことで当事者は絶望感を味わう」。スワッファーさんも「当事者ができること」に注目し、必要なことだけを支える「適切なサポートをしてほしい」と語り掛けた。

●「10原則」共有

 アルツハイマー病だけでなく、脳血管性やレビー小体型など認知症の原因疾患は多く、ほとんどが治癒できないのが現状だ。ただ、「解決策がないわけではない」とウォートマンさん。4日間の会議では、さまざまな取り組みが報告された。

 認知症対策に力を入れているオーストラリアは、あらゆる職業分野での「チャンピオン(擁護者)養成」を重視している。

 報告した医師によると、「尊厳のあるケア」を目指し、▽個別サービスの提供▽独立、選択、主導権のできる限りの維持▽自信と自尊心を持ち続けられる援助-といった「10原則」を共有し、キャンペーンを展開。移民が多いため、個別ケアには200を超える言語に対応する必要があるという。実行には数多くの人々の関わりが欠かせず、「最も重要なのは尊厳のあるケアの教育だ」と強調した。

 世界認知症審議会メンバーの黒川清・東京大名誉教授(80)は人型ロボット「Pepper(ペッパー)」と登壇。搭載カメラの顔認証システムで認知症の人を識別することで、個人カルテに沿った個別ケアや寄り添ったコミュニケーションがロボットでも可能になると紹介した。

 「新しいアイデアを出し、課題解決につなげるべきだ。ビッグデータの活用や、神経科学とデジタル技術の融合で生活の質も変わる」と認知症ケアの広がりを期待した。(小多崇)

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