【ダイバーシティ経営・鉄鋼業界の取り組み(下)】JFE事務系総合職、女性比率44%に

〝働き方〟変え、定着促す

 「女性が働きやすい会社なんですね」

 JFEスチール東京本社が入居する日比谷国際ビルの喫茶店。OB・OG訪問でやってきた女子学生が、目を輝かせてJFE社員の話に聞き入る光景はそう珍しくない。

 経済産業省と東京証券取引所が共同で女性活躍推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」。JFEホールディングスは2016年度に選ばれた47社の一つだ。12年度から始まった選定制度だが、JFEが選ばれたのはこれで3回目になる。

画像今年3月に行われた「なでしこ銘柄」表彰式

 JFEスチールは11年に「ダイバーシティ推進室」を開設。15年4月にはJFEグループ人材マネジメント基本方針を策定し、その一つで「女性・外国人・高齢者・障がい者等を含めた多様な人材」が活躍できる環境の整備を掲げている。

 女性の採用数には数値目標を設け、JFEスチールは総合職の事務系で35%以上、技術系で10%以上、製鉄所の現業職で10%以上と定める。今春の新入社員は、事務系総合職の44%が女性だった。

 女性管理職(係長級以上)登用でも数値目標を設定している。JFEスチール単独で現在の女性管理職は90人。14年度比では倍に増えた。20年度には14年度比で3倍へとさらに増やしていく考えだ。

 こうした女性活躍を支援するのが、法定を上回る充実した子育て支援制度。一例では、一般的に最大1年半の育休を、JFEでは子供が3歳になるまで取得できる。いわゆる「時短勤務」も通常は6歳までだが、JFEは小学6年生まで認めており、保育園を出た後の小学校進学が女性社員の仕事継続に逆風となる「小1の壁」を超えられるよう後押ししている。この4月には東日本製鉄所千葉地区でJFEグループ初となる事業所内保育園を開設。地域にも開放し、すでに20人超が入園した。

 こうした取り組みに加え、JFEは今年を「ワークスタイル変革元年」と掲げ、新たな施策をスタートさせる。個人別定時退社日の設定や、終業から翌日の始業まで十分な睡眠と生活時間を確保する「勤務間インターバルトライアル」などを通じ、働き方の多様化も進めていく方針だ。

 15年度の「なでしこ銘柄」である神戸製鋼所もダイバーシティ推進と並行して昨年度から「働き方変革活動」を始め、19時以降の残業を原則禁止した。このほか、介護や小学生の育児に対し月4日の在宅勤務を認め、仕事と生活の両立を支援している。

 1985年に男女雇用機会均等法が制定され、手探りで女性の採用が始まったこの世代からマネジメント層に登用されるケースも増えてきた。今では女性の採用自体は珍しくなくなり、その定着と活躍を支援すべく、通常業務の働き方も見つめ直す―。それは男性社員の育児や介護の支援といったダイバーシティの深まりにもつながることになる。

 一方で24時間稼働する製鉄所を擁し、激しい国際競争に打ち勝ちながら、需要家の負託に応えていく、鉄鋼業らしいダイバーシティの在り方は何か。一つではない解を探る各社の取り組みでもまた、多様化が進みそうだ。(黒澤 広之)

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