笠間稲荷門前通り、空き家に出店ラッシュ

1年で5店、補助金後押し

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空き蔵を活用し門前通りにオープンしたカフェ=笠間市笠間

にぎわい創出が課題となっている笠間市の笠間稲荷門前通り一帯で、空き家を活用した新規出店が相次いでいる。食事、土産など観光客向けの店が多い中、一般客もターゲットにしたカフェ、居酒屋など計5店が1年間に開業。市補助金が出店に拍車を掛けた。寂れた印象の改善とともに新たな客層の獲得が進み、地元の商店関係者は通り全体が潤うよう工夫する構えだ。 (笠間支局・今井俊太郎)

■衰退に直面

はりや白壁をそのまま生かし、レトロかつモダンな雰囲気を醸すカフェ。幕末の空き蔵を改装し3月末、門前通りに開業した。

「日中も人通りが多くないし、シャッターが降りたままの店も増えた。この街を活気づけたい」。地元出身の富田将人さん(35)が、危機感から出店を決意した。

通りと周辺は、菊まつりなど大型イベント時以外はにぎわいを欠く。観光客向けの食事、土産などを中心に店や事業所が立ち並ぶが、その数は約40カ所で、全盛期の半分以下になった。

衰退に直面する中、1年間で5店という“出店ラッシュ”を迎えた。富田さんのカフェ以外で昨年6月に八百屋、10月に雑貨屋、11月に居酒屋、今年4月に別のカフェが開業。いずれも空き店舗に入居した。

「笠間稲荷や門前通りが好き」「笠間に笠間焼の器のカフェを造りたい」など、出店理由はそれぞれだ。

■想定外

「これほど早いサイクルは想定外でうれしい。(寂れた)印象も改善できる」。笠間稲荷門前通り商店街協同組合の沼田雄一郎理事長(46)は喜ぶ。

空き家活用に拍車が掛かったことについて、笠間市は昨年度から運用を始めた「市街地活性化事業補助金」が影響したとみる。

この補助金は笠間稲荷神社、JR岩間駅、友部駅、笠間駅、稲田駅などを含む地域が対象。空き家・店舗などを活用する改装費が3千万円を上限に半額交付される仕組みで、「かなり有利な補助」(市)だ。

実際に5店中3店が申請し、合わせて約1300万円が交付された。「自己資金で出店するのは相当ハードルが高い。補助金や賃料に後押しされた」と、振り返る店主もいる。

このほか、市は「景観の改良も好材料になったのでは」と分析。門前通りは市の工事で稲田石の石畳が敷かれ、昨年までにアスファルト舗装が消えた。

■変わる客層

「人の流れが変わってきた」。富田さんは手応えを感じている。カフェは土日の昼間に1日60人ほどが来店し、満員になることもしばしば。客の9割は女性で、市内や周辺地域からの客がほとんどという。

観光客が主なターゲットだった街に新風が吹き込まれ、生活の一部として訪れる一般客が増えた。

沼田理事長はこの傾向を歓迎する一方で、「(1店だけでなく)門前通りを回遊し、長時間滞在していただく取り組みが必要」と、一帯に経済効果が波及するよう工夫したい考え。

無線LAN「WiFi(ワイファイ)」の設置推進やスタンプラリーの実施などを視野に入れる。

また、門前通りの在り方を考える有志の勉強会“かさまち考”はホームページへの空き家情報掲載などで、活用をさらに促す。

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