神戸まつり「サンバ」の理由 船員との交流から?

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神戸まつりを前に、練習に余念がないサンバチームのメンバーら=神戸市中央区波止場町

 21日にメインフェスティバルを迎える第47回神戸まつり。笛や太鼓の軽快なリズムに合わせて華麗な衣装で舞うサンバは、神戸まつりの「顔」とも言える存在。かつて移民を送り出し、サンバの本場ブラジルと縁が深い神戸。でも、なぜこれほど神戸まつりにサンバが根付いたのか? そのルーツや浸透ぶりを探ってみた。(勝浦美香) 【船員を助けた恩返し】

 神戸まつりに長年出演する「神戸サンバチーム」にはこんな話がある。約50年前、ブラジル船の船員が神戸の街で迷子になった際、親切に船まで送りとどけた青年がいた。

 その青年こそが、後に同チームを発足させた故・西内脩さん。船員からお礼にサンバを教わり、神戸まつりの前身である神戸カーニバルで披露したという。

 西内さんは、本場ブラジルのサンバを日本人向けにアレンジし、日本語の歌詞となじみやすいリズムに合わせた「神戸サンバ」を定着させていった。 【総領事主催パーティー】

 一方、ブラジル総領事が神戸で開いたパーティーから広まったという説もある。昭和40年代前半、総領事がブラジル船員と神戸市民の交流パーティーを開き、そこで披露したサンバが一気に普及、神戸にサンバチームができたとされる。

 そのパーティーに招待された1人が、日伯協会の会員でサンバにも造詣の深い山田芳信さん(84)だ。パーティーは当時フラワーロード近くにあった「神戸ニューポートホテル」で開かれた。山田さんによると、神戸市民は初めて見るサンバとそのリズムに驚いたが、徐々に一緒に踊り出し、会場は大盛り上がりだったという。

 山田さんはその後、サンバが神戸まつりで定着した理由も想像する。「当時の市民にとってブラジルは新天地。皆、憧れや期待を持っていたはず」とする。「サンバという言葉だけで華やかで楽しいイメージが浮かぶでしょ。だから今日まで人気なんじゃないかな」。 【ポートピア81も後押し】

 神戸まつりでサンバストリートを運営する神戸国際観光コンベンション協会職員の小池聡さん(52)は、1981年に開かれた神戸ポートアイランド博覧会をサンバが浸透した理由の一つに挙げる。博覧会の前年には神戸をPRする「PRキャラバン隊」が結成され、サンバチームと一緒に全国を回った。「それによって『神戸=サンバ』のイメージが県内外に広まり、まつりでも大きく取り上げられるようになったのでは」と推測する。

 このように「神戸まつりとサンバ」にはさまざまな逸話があり、同まつり主催の神戸市民祭協会も「諸説存在する」とする。始まりはともあれ、これだけ広まったのは神戸っ子の気性に合ったからかも。見るのもいいが、踊るのも楽しいサンバ。今年は気恥ずかしさを捨て、ラテンのリズムに身を任せてみるのも一興かもしれない。

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