【コラム・天風録】アンタッチャブル

 1930年代、禁酒法下の米シカゴ。ギャングは密売で稼ぎ、暴力で街を支配した。30年前に公開された映画「アンタッチャブル」は実話に基づく。巨悪に司直はどう立ち向かったのか▲財務省から一人の特別捜査官が派遣される。そこで目にしたのは、ギャングに丸め込まれた警察の堕落だった。捜査官は仲間を集め、証拠を積み上げていく。脅しにもひるまない。誰であれ、捜査に手を出させないと▲今の米国で最強のアンタッチャブルといえるのは特別検察官だろう。挑む相手はホワイトハウスである。昨年の大統領選でトランプ陣営とロシアが結託した疑惑を巡る捜査が元FBI長官のモラー氏に託された▲FBIは連邦捜査局の略称である。同時に組織の三つのモットーを示す。「忠実・勇敢・高潔」のアルファベットの頭文字だ。FBIの公式紋章にも記され、12年間トップを務めたモラー氏も当然、胸に刻んでいよう▲わが国にも権力におもねらない特別検察官が必要だ。市民にぬれぎぬの恐怖を与える「共謀罪」法案を強引に通すのではなく…。捜査のメスを入れるべき政治の「闇」は深い。権力者や官僚をアンタッチャブルにしておくわけにはいかない。

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