ハンドルの遊び(5月20日)

 漫画やアニメの中の世界と高をくくっていたが、そうでもないらしい。車の自動運転である。自動車メーカー、IT企業が開発にしのぎを削っている。県内の自治体や企業でも導入に向けた調査・研究が進んでいる。

 究極の完成形は加速、ハンドル操作、ブレーキ操作の全てをシステムで操り、ドライバーが全く関与しない完全自動走行システムだ。大手自動車メーカーの開発担当者から話を聞いたことがある。「現時点では、それほど広く普及するとは思っていません」。意外な答えだった。

 理由を聞いて得心した。事故が起きた際の責任の所在を明確にするのが難しいのだ。車の所有者もしくは車に乗る人なのか、システム開発者あるいは自動車メーカーなのか。運行ルートが決まっている路線バスなど公共交通機関や通行量の少ない中山間地での導入が現実的とのことだった。

 少しがっかりしていると、担当者は「ただ…」と付け加えた。ハンドルに触れずともテストコースを疾走する試作車に乗ると何とも不思議で楽しい気分になるという。「夢のある乗り物にしたい。だって自動車にはワクワクする遊び心も必要でしょ」。夢を見る力が開発の原動力になる。

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