被災の町屋、130年の歴史に幕 熊本市の「森本襖表具」解体へ

画像解体を決めた森本襖表具材料店の森本多代さん。建物の中央に「くぐり戸」、手前に折り畳み式の「ばったり床几」がある=熊本市中央区

 熊本市中央区鍛冶屋町の「森本襖[ふすま]表具材料店」は、熊本地震で被災した店舗兼住宅を今月下旬から解体することを決めた。築130年の町屋で、近くのレストラン「塩胡椒[こしょう]」の建物などとともに市の「景観形成建造物」に指定されていた。一帯の歴史的な町並みの一部が姿を消すことになる。

 店主の森本多代さん(58)によると、建物は1886(明治19)年の建築。木造2階建ての3棟が一体に並び、いずれも奥行きの長い町屋造りになっている。真ん中の棟に「くぐり戸」と呼ばれる出入り口があり、商品を並べる折り畳み式の縁台「ばったり床[しょう]几[ぎ]」もある。2001年に市の指定を受けた。

 同商店は戦前から、襖、びょうぶ、掛け軸の材料を販売。熊本地震では建物が傾き、瓦や壁が落下。罹災[りさい]証明で全壊と判定された。森本さんはみなし仮設に入居している。

 当初は修復を検討していたが、余震や時間の経過とともに被害が拡大。「もう待てない」と解体を決め、4月初めに市に届けた。修復費用や今後の維持の難しさも障害となった。休業中の商店の今後については決めていないという。

 森本さんは「中庭を見ているとやはり自分の家だと思ったが、区切りをつけなくてはいけない。これまで大切にしてくれたお客さんに感謝したい」と話している。(中原功一朗)

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