「共謀罪」衆院委可決、県民の声 「テロ防止に必要」「束縛される不安」

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が19日、衆院法務委員会で可決された。県民からは「テロを未然に防ぐためには必要」と多くは理解を示す一方で「国に束縛される感じがする。不安は否めない」との声も。「情報が少なく賛否を判断できない」と態度を保留する慎重な意見もあった。

 山形市陣場南1丁目、山形大地域教育文化学部4年奥山雄也さん(21)は「テロが発生し死傷者が出たら取り返しがつかない」ことを理由に法案成立に賛成。各国でテロが起きていることに触れ「防止するには事前に計画を察知する法的整備が必要だ」と強調した。

 鶴岡市下田沢、農業阿部勝さん(80)も世界中でテロが相次いでいることを踏まえ、「被害者を思うと心が痛む。日本でも起こるかもしれず、怖い。テロを防げるのであれば賛成」と語った。一方で「やたらと疑うようなことはしないでほしい」と注文を付けた。

 白鷹町鮎貝、会社役員横山和浩さん(45)は「現時点では情報が少なく賛否を判断することはできない」との立場だが、国が目指す法整備の趣旨については「事前の備えをしっかりして国民を守りたいという考えと判断する」と理解を示した。

 「どちらかといえば賛成。2020年には東京五輪が控えており、大きな犯罪を未然に防ぐためには必要だと思う」と話すのは新庄市上金沢町、無職浅沼桂子さん(79)。「都会と違い事件の少ない山形にはあまり関係ないのではないか」とも見る。

 米沢市城南4丁目、山形大工学部2年藤田峻弘さん(20)は「処罰対象基準があやふやで反対」。会員制交流サイトを頻繁に利用する世代として「軽くつぶやいたことも犯罪とされてしまう不安がある。国に束縛される感じも我慢できない」と指摘した。

 寒河江市寒河江、会社員工藤瑞浩さん(55)は法案成立に賛成。「世界に目を向けると、さまざまな国でテロが発生している。日本で絶対起こらない保証はない。凶悪犯罪被害を未然に防ぐため、事前に対策を講じることは当然のことと思う」と話した。

 山辺町山辺、自営業川口一郎さん(79)も「近隣諸国などの脅威から国を守る必要がある。テロや犯罪が起きてからでは遅い。法案可決には賛成だ」とする。「一般人を対象とした『過度な適用』を懸念する声もあるが、備えは必要。悪用の恐れはないと思う」 酒田市錦町2丁目、無職佐藤三幸さん(71)は条件付きで賛成。「国民の生命を守るため、テロなどへの対処に向けた法整備は重要」としつつ、「行き過ぎた適用の恐れをなくすため、犯罪組織に関わりのない一般人を保護する具体的な措置も必要」と述べた。山形大・西岡准教授に聞く 組織犯罪処罰法改正案の採決を受け、山形大学術研究院(人文社会科学部)の西岡正樹准教授(41)=刑法=は、「法整備と同時並行でテロを防ぐための実効的な施策を打ち出すべきだ」と今後のポイントを語る。加えて改正点に関し、国民に詳細な説明が求められるとも指摘する。

 政府が締結を目指す国際組織犯罪防止条約の要請に応えるため—というのが法改正の目的の一つだが、その是非はともかく、「テロを防止するための法律だと言われれば、大半の人は必要だと思うだろう」と分析。ただし、道路交通法があっても交通事故がゼロにならないように、法律が厳しくなってもテロを企てる犯罪者はそれをかいくぐろうとする。「仮に今回の法改正が東京五輪・パラリンピックを第一義的な目的だとすれば、入国審査を厳しくするなどの政策が重要だ」と話す。

 一方で、一連の審議では答弁内容が異なるケースが散見し、「国民の多くは内容が分からないのではないか」。人によって解釈が異なってしまうようでは、「政権が代わるなど、法の運用者によって適用対象者が変わってしまう恐れもある」と懸念を示す。

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