被災の創業87年「世安湯」 9月再開へ修復進む 熊本市

画像休業中の世安湯入り口に立つ坂崎友治さん。9月の営業再開を目指しているという

 熊本地震で被災し、休業中の銭湯「世安湯」(熊本市中央区)で、9月の営業再開を目指して修復工事が進んでいる。富士山や白砂青松の浴場壁画が自慢の、創業87年の老舗。3代目の坂崎友治さん(53)は「地域住民が集うコミュニケーションの場にしたい」と意気込んでいる。

 東京でシステムエンジニアをしていた坂崎さんが、父からのれんを継いだのは2014年。浴場内での落語イベントなどを催し、新たな客も訪れ始めていた時の地震だった。

 昨年4月16日の本震で創業時から残るれんが積みの煙突(高さ12メートル)が折れ、女湯の屋根を突き破った。お湯を沸かすボイラーや浴槽なども破損。地震直後から5カ月間、同業者組合が被災者に無料開放した際には、事務局長として電話応対などに奔走した。

 経営者の高齢化に地震が追い打ちを掛け、廃業した銭湯もある中、坂崎さんは「まだやれるのにやめる理由はない」と再建を決意。同業者と被災企業を支援するグループ補助金を申請。煩雑な事務手続きも担当した。

 3月に着工、現在は足場を組んで煙突と天井、浴槽の再建工事が進んでいる。40年以上通う近くの山本量子さん(77)も「毎日通っていたので、お湯に入れず寂しい。早く再開してほしい」と待ち望む。

 店先の貼り紙には「がんばってください。再開時、入浴に来ます」という書き込みも。多くの応援に感謝しているという。坂崎さんは「たくさんのお客さんが来てくれるか不安もあるが、銭湯は日本の文化。銭湯好きが集う交流の場にしたい」と前を向く。(西國祥太)

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