3万5千人収容でJリーグ規格対応へ 川崎市が「等々力陸上競技場」2期整備案

 川崎市は29日、等々力陸上競技場(中原区、2万7495人収容)のサイド・バックスタンドを整備する第2期整備の基本方針案を発表した。収容人員を3万5千人規模とする2020年度のJリーグ規格に対応させるほか、日常的に利用できる施設などを導入し、幅広く活用できるスポーツ拠点を目指す。既存構造を生かした増改築で、初期費用は90億〜100億円程度を見込んでいる。

 現在のサイド・バックスタンドは2層構造で、約2万人を収容。2層部分はほぼすべて背もたれ付きの席だが、1層部分は立ち見スペースや背もたれなしの席が計約9千人分ある。改修でこれらの全席を背もたれ付きの席に変え、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の規格にも対応。現在は2層部分のみを覆う屋根も客席全体に広げる。

 市は整備手法として、既存の2層部分を残して3層部分を増築し、1層部分を改築する増改築案と、全面改築案を検討。施設利用者の要望などを踏まえ、8項目で評価したところ、試合や大会を開催しながら整備するため、既存構造を生かすことで工事期間も短く、費用も抑えられる増改築案が採用された。

 整備ではカフェや売店、トレーニング場など、試合や大会のない日でも日常的に利用できる施設の導入も検討する。老朽化した部分の改修や、エレベーターの設置などバリアフリーにも配慮する。

 同日会見した福田紀彦市長は「収容人数拡大は規格対応もあるが、等々力は首都圏有数の緑地で一大スポーツ拠点。市民が日常的にスポーツを通じて集まれるよう、ハード整備だけでなく活用法も研究していきたい」と意気込みを示した。

 基本方針案は6月12日から約1カ月間、パブリックコメント(意見公募)を実施し、8月に策定。整備計画は来年3月に策定予定で、着工は最短でも20年度以降を見込む。工期は2〜3年としているが、大会などに支障がないよう分割施工とするため、完成時期は未定という。

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