【どうなる関西鉄鋼市場展望と課題2】関西鉄鋼関連企業首脳に聞く

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――どう生き残りを図っていきますか。

北氏/CC生き残り、需要開拓へ業界連携大事

北「コイルセンター(CC)が成長産業の位置づけに入るかどうかは別にして、われわれが何をしなければならないかというと、まず切るということではクラッド鋼板も切るなど、冷熱、表面処理の世界から少し幅を広げて、他の分野にもいかないといけないのかなあという気はしている。難しい材料が切れるかどうかだ。そういった中で関西はオーナー系が多いので、オーナー同士が持っているチャンネルのレビュー(見直し)ができれば一番良い」

 「皆さんの世界とCCは少し違って、需要は戻ってはいるが、現状は三角印で難しい状況だ。ビル建設にスリットコイルが何トン使えるのか。建材分野でもレベラーカットしたパネルなど色々とあるが、それは一度使われるとリピートはなく、それっきりですから。そのあとどうするのかが大切だ。皆さんと関西地区のチャンネルをオープン化させ、一緒にやっていくのが筋かなと思う」

阪上氏/地区再開発物件など地場流通への恩恵薄い

阪上「コイルセンター同様、在庫流通の先行きがバラ色で明るいわけではない。建築建設関係の需要が関西で出てきたからといって、関西の流通が恩恵を受けるかというと必ずしもそうとは言えない。現に今でも建築需要は関東に一極集中しているが、関東の流通にはそれほど恩恵が来ていない。メーカーにはそれなりに(明細が)入っているだろうが、メーカーも色々な地区で生産されており、(生産面でも)関東で直接的な恩恵が出ているわけではない。関東の物件であっても、その製作は関東ではなく、周辺地域あるいは全国に散らばっている。関西でも再開発など色々なことで活性化して建設需要が増えてきたとしても、関西の業者で賄えますかといえば、多分賄えない。そのため周辺地域に製作は回っていくので、本当に流通の商売が活性化していくのかどうかは分からない。特に建築関係、鉄骨になるとメーカー物件で、メーカーから直入で鋼材がファブに入る。商社さんの商売にはなるが、現物流通の商売にはそれほどならない」

北「あとは素材。素材が樹脂、カーボン(炭素繊維)に代わってきている。その最たるものが、現在関西電力がやろうとしている地中管だ。これは、ジョイント部分は鉄管を使うが、直管部分はカナフレックスのような波付硬質合成樹脂管を使う。軽くて工事がしやすく、値段も安い。国道1号線などメーン道路は別にして、京都でも産寧坂とか、二寧坂とか車の入らないところは、樹脂管に代わっている。また自動車もカーボンになっている。ただ鉄スクラップは燃えるが、カーボンはリサイクルされていかないという問題がある」

松野「鉄鋼製品は、経済合理性のある社会的リサイクルシステムが整備されているという点でも他素材との比較において優位性がある。こうしたエコプロダクトとしての鉄鋼製品の優位性についてさらに積極的に発信していかなければならないと思う」

――森社長はどうお考えですか。

左から森氏、松野氏、山下氏

森「おっしゃる通り鉄スクラップは、一番安価な原料だ。今のお話にあった炭素繊維のリサイクルは当社でも手掛けている。まず細かく破砕し、製鋼時のカーボン源の一部として使っている。最近はさらに進んで、再生炭素繊維を作っている会社もある。今後はそういった方向へ行くかもしれない」

松野「ただその際、製造から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で見た場合のエネルギー消費やそれに伴う環境への負荷も考える必要がある。その上で、鉄という素材を評価することが重要だ」

森「おっしゃるようにトータルのリサイクルではどうなのかということで、鉄をとらえていかなければならないが、コスト的にも炭素繊維そのものがリサイクルされる可能性は十分ある」

――万博、IRなど関西のプロジェクトが実現すれば、関西の鉄鋼市場も期待できますが、一方、中長期的には少子高齢化、人口減などによる経済や市場の縮小が見込まれます。そうした中でどう生き残り、どう成長戦略を描いていくか。

松野氏/鉄素材の優位性PRし、国内需要をしっかり確保

松野「大きく分けると、2つあって、ひとつは、やはり国内事業をしっかりとやっていくこと。冒頭に申し上げたような、国内需要にどうしっかりと応えていくか。阪上さんや中西さんがおっしゃったように、国内の需要は増えることはないのだろうが、そう減ることもない。国内マーケットは依然としてたいへん重要であり、お客様に求めていただけるような製品やソリューションを、納期通りにしっかり提供していくこと。そのためには安全確保・安定稼働をゼロ番地に据え、さらなる製造実力の維持・向上が不可欠だ。日本の製造業の歴史の中でも、鉄鋼業は最も長い歴史を持つ産業のひとつだ。それだけに設備老朽化に対応していくため、計画的な修理や設備更新をきちっとやっていくことが、大きな課題になる。私どもとしてもこれに対応するため、相当規模のコストをかけて進めている」