室蘭の市民キャスト・桃枝さんが準主役級に大抜てき

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 室蘭を中心に西胆振を舞台にしたオムニバス映画「モルエラニの霧の中」(坪川拓史監督)の第3章「夏の章/桜蘭通り商店街」の撮影が、9日から始まる。主演する俳優でコメディアンの小松政夫さんの妻役に、市民キャストの桃枝(もものえ)俊子さん(65)=室蘭市寿町、主婦=が大抜てきされた。桃枝さんは準主役級での出演に驚きつつ「監督の描く世界に入り込めるような演技をしたい」と意欲を見せる。

 桃枝さんが演じるのは元小学校教員で、脳梗塞により体の自由が利かず、会話ができないという難役。小松さんとは、車椅子で港を散歩するシーンなどが撮影される。坪川監督は起用した理由を「品があり、何歳にでも見えるような不思議な雰囲気のある人。せりふがない分、空気感で表現できると思った」と語る。

 桃枝さんは若い頃から演劇の世界に興味があった。「本来、人前に立つのは苦手」だが「演技をやってみたい」というチャレンジ精神が勝り、2014年(平成26年)から舞台芸術支援団体・室蘭VOXの演劇や朗読劇に参加するようになった。同年から撮影が始まった「モルエラニ―」の第1回市民キャストオーディションにも応募した。

 今年4月、キャスト起用の連絡が届き、小松さんとの共演を知らされた。「家事が手に付かないぐらい緊張しましたが、うれしいです」と笑顔を見せる。元小学校教員という役を知り、真っ先に思い出したのは「戦時中、代用教員をしていた母のことでした」と運命的なものを感じた。

 坪川監督と作品について「ピュアな目線、思いがある人で、作品の中に優しさや懐かしさが流れている」と言い「監督が描く世界に入り込めたら」と台本に目を通している。撮影は12日まで市内で行われる。 (成田真梨子)

【写真=主演の小松政夫さんの妻役に大抜てきされた市民キャストの桃枝さん】