【北海道市場の概況と課題】〈鉄連北海道地区運営委員会・鈴木康友委員長(新日鉄住金北海道支店長)〉鉄需創出へ、省力化など鉄の優位性や高機能鋼材PR

©株式会社鉄鋼新聞社

 4月の管内経済概況では、北海道経産局は8カ月振り、日銀札幌支店は実に20カ月振りの上方修正と発表した。特に観光関連が好調で、その経済波及効果は年間2兆円突破との推計も。その中で北海道の普通鋼鋼材需要も増加傾向を示している。鉄鋼業界としての取り組みや課題を鈴木康友委員長(新日鉄住金北海道支店長)に聞いた。

――北海道地区市場の16年度の概況は。

鉄連北海道地区運営委員会・鈴木康友委員長

 「昨年度の道内普通鋼鋼材受注量は106万3798トンで前年度比13%増となった。これは地域別に見ても全国で唯一2桁の伸びで、その率は群を抜いている。また、報告者間取引を差し引いても、100万トンレベルを確保しているものと考えられる。これは15年度の反動増に加え、棒鋼やH形鋼をはじめとした建材製品の増加が寄与している。その中で土木分野は公共工事の減速の下で災害復旧需要も次年度以降となり低調だった。一方、建築分野は〝創世1・1・1区〟などの大型物件により前年比増で、鉄骨ファブも一定の稼働は確保できたのではないだろうか。また、自動車や造船、産業機械などの製造業向けも前年に比べ微増レベルで推移した」

――17年度の需要見通しは。

 「土木分野は昨年夏に発生した台風被害に伴う災害復旧需要が動き出し、堅調な推移を想定している。昨年10月に成立した1384億円の補正予算に加え、台風災害の激甚指定による災害復旧事業費が3年間で1740億円投じられることが決まり、公共予算は増加の見通しだ。建築分野は前年度のズレ込み案件や本州案件、農業関連需要などが前年に比べ横ばいから微増を想定している。インバウンド需要をにらんだ食品加工や小売関連投資はピークを過ぎたが、外国人観光客の滞在長期化傾向などからホテル需要は札幌や函館を中心に引き続き堅調。農業関連でもTPPの動静による影響はあるものの、基盤強化の重要性に変わりはなく必要な予算措置が続いている。これらによってトータルでは昨年度を上回る需要を期待している」

――北海道地区市場の課題や問題点は。

 「一般論として再生産可能な収益をあげられない企業は市場から退出することとなる。また、将来に備えることも大切で、特に人材の確保や育成が重要になる。さらにはユーザーニーズに応える新商品や新技術の開発と提案に継続して努力することも必要だ」

――鉄連としての今後の取り組みは。

 「何よりも鉄需の創出が重要になる。他素材に対して省力化や短工期に役立つ鉄の優位性や、高強度や高耐食、高加工性などを持つ高機能鋼材をPRし、新たな鉄需創出を図りたい」

 「昨年夏の台風は十勝やオホーツク地区を中心に甚大な被害をもたらした。今後、その復旧が本格化するが、気象変動の兆候も踏まえて従来型の〝原形復旧〟で終わらせることなく、同程度の災害にも耐え得る〝改良復旧〟に踏み込んだ計画が進められている。昨年末に国土交通省による北海道緊急治水対策プロジェクトとして、再度災害防止対策を施す〝改良復旧〟個所を抽出し、関係機関が連携の上で強靭化対策を緊急的・集中的に行うと表明し、今年度から19年度をメドに実施する方針だ。これは台風被害に対して道路や河川、鉄道、農地など広範囲に渡る復旧・強靭化対策が議論されているもので、今後は土木需要の裾野が広がっていくことを期待している。まだ計画段階の案件も多いが、このようなケースでも鉄の使用価値を訴え、復旧・強靭化に資する提案を行いたい」

 「身近な一例としては、スチール缶のビールと発泡酒を室蘭市では一部のスーパーで常時販売する動きが出ている。このような動きを一大消費地である札幌圏へも拡大するよう期待したい。これら大小様々な動きを北海道地区鉄鋼業界が一丸となって継続的に進めることで、鉄需の創出と拡大につなげていきたい」