【道内鉄鋼流通の変遷と課題】〈北海道鋼友会・今井國雄会長(今井金商会長)〉市場・相場は共通財産

適正利益確保で魅力ある業界へ

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 北海道鋼友会(会員・31社)は今年、87年3月の結成から30周年を迎えた。この間、会員各社は鉄鋼流通業を取り巻く好不況の波を乗り越え、その機能と持ち前のバイタリティーで、現在の確固たる地位を築いてきた。今後の鉄鋼流通業のあるべき姿や地区市場の展望を含め、今井國雄会長(今井金商会長)に聞いた。

――北海道鋼友会の歴史や思い出深かった出来事は。

北海道鋼友会・今井國雄会長

 「87年に札幌・小樽地区特約店組織の札樽鋼友会(10社)が中心となり、これに各地の特約店組織が参集し会員数20社でスタートした。翌年には会員数も36社に拡大し、札幌で取引先のメーカーなどを招いて設立1周年記念のパーティーを開催した。結成当初から年2回のオーナー会(春=総会、秋=例会)や担当者会議を開き、89年3月には会員39社で全国鉄鋼販売業連合会に正式加盟した。同年には現在も続いている東北鉄鋼販売業連合会との交流会も始まり、同じ北国で共通する悩みを持つ者が集い、交流を深めている。今年も9月19日に朝里クラッセホテル(小樽市)で開催する。この間、全鉄連の全国大会を札幌と旭川で開くことができた」

――その間の道内鉄鋼流通業界の変遷は。

 「バブル経済最盛期の90年度には北海道地区の普通鋼鋼材需要は202万トン強へ。しかし、その後はバブル崩壊やリーマンショックも経験し、地区需要は近年の90万~100万トンレベルにまで減少した。メーカーや商社の統合・再編が進み、我々鉄鋼流通業にも淘汰の波が押し寄せた。その過程で残念なことに会員の中でも廃業や倒産に見舞われるケースが発生し、会員数の減少にもつながった」

――そのような状況が続く中で大切なことは。

 「変化に対応する柔軟性ある企業が生き残る。市場や相場は皆の共通財産であり、単に安値で仕事を獲りに行く時代ではない。需要が減少傾向をたどる中で、価格のみで相対することは、自分で自分の首を絞めることに他ならない。市場や相場を大切に、そして丁寧に商売をすることが重要だ」

 「今、需要減少の中で我々鉄鋼流通業は魅力ある事業になっていないのでは、とも思う。倉庫や加工設備を持ち、物流や在庫機能を担うためには負担も決して軽くはない。その分、競合会社の新規参入は少ないが、人材確保の面だけとっても非常に厳しい状況だ。我々が扱うものは流行品ではなく生産財。他社と比べても扱う商品の性能や価格、品質には大差がない。売り手も買い手も、お互いに相手を慎重に見極めることが必要となる商売だ。そこでは信頼が最も重視され、信頼関係が全てのベースとなる。そして、信頼される人材が揃っているかが、各社の事業を維持・拡大するうえで大きなポイントになる。そうした人材を確保し育てることも大切だ」

――北海道地区の昨年度と今年度の状況は。

 「昨年度の道内普通鋼鋼材需要は前年比3%程度増加し、約94万トンと推測される。今年度は出遅れていた案件の出件やTPP関連での農業関連施設、札幌市内の再開発案件や観光関連でのホテル建設なども期待される。これらによって、品種や地区によるバラ付きは想定されるが、ほぼ昨年並みに推移するものと推測される」

――鉄鋼流通業として、今後の課題と対応策については。

 「鉄鋼流通業は大切な役割を担っている。我々の取引先であるメーカーや商社は統合・再編が進んでいる。一方で我々の販売・供給先の会社にも様々なお客様が存在する。今後もそれぞれの段階で機能を果たし、お客様が満足するよう対応することが大切だ」

 「全国的に人材の確保は難しくなっている。労働環境や賃金の改善を図り、鉄鋼流通業を魅力ある業界にしなければならない。そのためにも昨年夏以降のメーカー値上を適正に転嫁しなければならない。ただ、一連のメーカー値上げは、その上げ幅が大きいことから業界全体として取り組み、最終需要家に、いかに転嫁していくかが大きな課題だ。しかし、その実現によって互いに適正利益を確保し、結果として魅力ある業界、人が集まる業界にしたい。今回の値上げは、今後の鉄鋼流通業界にとっても大きな試金石となるだろう」