家の中にツバメの巣 昔ながらの風習残る 兵庫・養父

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屋内に設けた板の上に作られた巣=養父市大屋町大杉

 旧家の壁の穴から、ひっきりなしに出入りするツバメ-。このほど国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた兵庫県養父市大屋町の大杉地区には、ツバメのために抜け穴をこしらえた民家が残る。作物に害を与える虫を食べてくれることから益鳥とされ、農家ではその営巣を助けているのだ。

 築65年の河辺操さん(67)宅には、玄関扉の上に木枠で囲まれた十数センチ四方の「ツバメ専用出入り口」がある。玄関内側の土間の天井付近にわざわざしつらえた板の上で、ツバメは巣作りしていた。親鳥が戻ると、ひなが盛んに鳴きだす。親鳥は餌を与え、再び穴から屋外へ飛び去った。

 河辺さんは「ツバメは農家にとって幸運をもたらすから」と目を細める。

 兵庫県教育委員会などによると、ツバメの抜け穴を設けた民家はかつて、農村部では珍しくなかったという。しかし、都市化や住宅の建て替えなどが進み、抜け穴は減っているとみられる。

 同地区には江戸末期や明治時代の建物も多く残るが、最近は「卵を狙ってヘビが寄りつく」などと抜け穴をふさぐ家も多いそうだ。河辺さんは「昔はもっとたくさんの家にツバメが入っていた。昔ながらの風習は残したい」と話す。

 国の文化審議会は先月、近代養蚕業の風情を残す大杉地区を重要伝統的建造物群保存地区にするよう答申した。(那谷享平)

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