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赤ちゃんポスト「必要です」 慈恵病院元看護部長が新著

画像新刊「『赤ちゃんポスト』は、それでも必要です。」を持つ田尻由貴子さん=熊本市

 親が育てられない子どもを匿名でも預かる慈恵病院(熊本市)の「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」が開設されて10年。看護部長として長年携わっていた田尻由貴子さん(67)が、「『赤ちゃんポスト』は、それでも必要です。」(ミネルヴァ書房)を刊行する。赤ちゃんポストを「現代社会が抱える多くの問題の『シンボル的な存在』」として、望まない妊娠に戸惑う女性らの実相をつづっている。

 昨年9月に続く、著者2冊目の作品。今回は田尻さんが実際に受けた妊娠に関する電話相談が生々しく記されている。大学受験を控えた高校生、ゆきずりの出会いや会社の上司との不倫、知的障害がある娘の妊娠に悩む母親や、障害のある子どもが生まれ戸惑う夫婦が登場する。電話口で田尻さんの励ましや支援を受けながら自宅出産した女性も。

 「どの事例もごく普通に寄せられてくる相談。日常的に行っているやりとりで、これが現代日本の社会」と田尻さんは指摘する。

 このほか、小池百合子東京都知事の政治塾「希望の塾」の選抜試験で赤ちゃんポストの是非が取り上げられたことも紹介。全国に赤ちゃんポストを広げるためには政治家の果たす役割が大きいと訴える。

 田尻さんは「赤ちゃんポストは、社会全体が生まれてくるかけがえのない命を大切にしようとしているシンボル。出自を知る権利など賛否両論はあるが、それでも全国に設置する必要がある」としている。20日から店頭に並ぶ。2160円。(田端美華)

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