沖縄の歴史知って 川崎の料理店でイベント 慰霊の日の23日

 沖縄の戦争の歴史を伝えていこうと、川崎市川崎区新川通の沖縄料理店「沖縄そば ゆんたく」では、6月23日の「慰霊の日」にちなんだイベントを続けている。戦争体験者が高齢化していく中、現在マイクを握るのは当時の話を受け継いできた若い世代。店主で沖縄出身の仲宗根真一さん(48)は「美しい海だけでなく沖縄のいろんな歴史も知ってほしい。出身者に限らず、ゆかりのある若者たちが感じた沖縄を伝えたい」と、今年も23日に店内でライブを開く。

 仲宗根さんは沖縄県の宮古島で生まれ、小学3年生から沖縄本島南部の南風原(はえばる)町で育った。同町には地下壕(ごう)も多く、「戦争の爪痕がたくさん残っていた」。小学校の裏山では、米兵の機関銃の弾やヘルメット、不発弾などがあちこちで見つかった。学校では慰霊の日が近づくと、地域のお年寄りから戦争体験を聞いたり、戦争に関する映画を見たりといった平和学習が盛んに行われていた。

 沖縄の大学を卒業後、神奈川県内の自動車販売会社に就職。その後、横浜市鶴見区のおきなわ物産センターで店長として働き、独立して2006年7月に「ゆんたく」をオープンした。

 店内で流れる沖縄の映像を見た客からは「きれい」「癒やされる」と言われる。「うれしい半面、『沖縄は美しい部分だけではないんだけどな』と複雑な思いも抱くようになった。沖縄を離れてみて、昔聞いた戦争体験の話が強く記憶に残っているのを実感した」。開店して3、4年後、常連客になった近くの高校の教諭から「修学旅行で沖縄に行く前に事前学習がしたい」と頼まれ、生徒に話をしたこともあった。

 そうした交流を機に、「沖縄のいろんな情報を発信していきたい気持ちが芽生えた」。以降、慰霊の日にちなんだイベントを企画するようになった。当初は沖縄出身のお年寄りらが戦争体験や戦後の暮らしを語ってくれていたが、高齢化もあって大勢の前に立つことが難しくなった。

 3年ほど前からは沖縄ゆかりのミュージシャンらを招いてライブを開き、ステージの合間に出演者や仲宗根さんが沖縄での経験や思いを語っている。「自分たちが受け継いできたことを、自分たちの目線で多くの人に伝えていきたい」 23日は沖縄の大学出身の歌手らが出演する。午後7〜10時ごろ。チャージ代1500円。問い合わせ・予約は、ゆんたく電話044(200)8658。

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