<隠れた名盤> ペギー葉山『ベストセレクション2017』 そのルーツはジャズやポピュラーソングと実感

ペギー葉山『ベストセレクション2017』

 83歳での逝去1週間前に発売されていた2枚組は、生涯現役だったことがよく分かる構成。

 Disc1は、2007年のLIVE音源を収録。全13曲中過半数が英語曲だが、朗々とした歌唱が魅力の日本語曲に比べ、よりファンキーで、よりセクシーな歌声に驚く(当時73歳!)。あらためて彼女のルーツはジャズやポピュラーソングだと実感した。

 Disc2は、全12曲中11曲がスタジオ録音で、2016年のラスト・シングル『おもいでの岬』や2012年のシングル・カップリング曲だった『夢の坂道』など近年の穏やかな人生応援歌が多くて癒やされる。また、90年代のデュエット『夏の終わり』も、石原慎太郎が意外に美声で興味深い。

 後半4曲は、『ドレミの歌』をはじめ、映画『サウンド・オブ・ミュージック』関連。ラストの『すべての山に登れ』は2012年のLIVE録音で、その精進し続ける姿勢を体現したような歌声に心打たれる。

 本作を聴けば、年齢のせいにしないベテラン達の凄まじい努力が見えてくるはず。

(キング・2CD 3704円+税)=臼井孝

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