子育て世帯に県営住宅 県が優先枠拡大へ

 子どもの貧困対策の強化に向け、県は22日、子育て世帯の県営住宅入居促進策を拡充させる方針を明らかにした。義務教育終了までとしている優先枠の対象を高校卒業または20歳までに引き上げ、ひとり親世帯などに適用している当選優遇制度も拡大する。低所得者のセーフティーネットを広げるとともに、若い世代を積極的に呼び込んで高齢化が深刻な団地の活性化にもつなげたい考えだ。

 県営住宅の育児支援策は、「子育て世帯向け住宅」の優先提供と一般住宅の当選率優遇策が柱。子育て世帯向け住宅は、未就学児がいる世帯が優先的に入居できる部屋を5、11月の入居者募集時に毎回約30戸用意している。現状は中学卒業まで入居できる仕組みで、県内全217団地(約4万5千戸)で約370世帯が利用。当選率を上げる優遇策は、母子・父子世帯と3人以上の子がいる世帯を対象としている。

 黒岩祐治知事は「子どもの貧困が社会問題化している中で、子育て世帯の入居を一層促進していく」と強調。入居期間の延長と当選率優遇対象の拡大を進め、安定的な暮らしを実現していく考えを示した。

 一方、県営住宅入居者の高齢化率は42%で、県全体(24%)を大幅に上回っている状況。県は子育て世帯の入居促進による団地の世代バランス是正で、コミュニティー維持と活性化にもつなげたい考えだ。

 同日の県議会本会議で、佐々木正行氏(公明党)の一般質問に知事が答えた。

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