防災に女性の視点 平塚の団体が啓発冊子

 1995年の阪神淡路大震災を機に、平塚市内の女性たちで結成された防災ボランティア団体「平塚パワーズ」(木村美江子会長)が、これまで培ってきたノウハウをまとめた冊子を作成した。女性の視点を大切に被災地の支援に取り組んできたが、冊子には段ボールを使った簡易トイレの作り方といった役立つ情報が盛りだくさんだ。木村会長は「災害発生時に救助はすぐに来ない。1週間は生き延びる知恵と技を紹介したい」と話している。

 「防災減災パワーズブック」と名付けられた冊子はA5版全41ページ。これまでは2000年頃にまとめた冊子をコピーして講習会などで活用してきたが、民間企業の助成を受けたことで刷新し、市の防災ガイドブックの内容も一部加えて2千部を発行した。

 テーマは、震災発生後7日間の生活を自分で守ること。パワーズが普及に努めてきた簡易トイレの「段ボールトイレ」や「多機能型防災ずきん」などのグッズを紹介した。また、バンダナやレジ袋など身近なもので患部を固定する方法や、日頃から多めに買い置きしておくといい物、避難所などでもできる料理法などを伝授している。

 木村会長によると、昨年4月の熊本地震直後も、避難所のトイレ環境の悪化に伴って女性の高齢者らが水分摂取を避け、脱水症状などを発症。こうした状況を踏まえ、トイレ確保の重要性を訴えている。

 巻末には家族や住居など心の支えとなる写真を貼れる欄も。菅野由美子副会長は「写真の情報から冊子の持ち主を判別するヒントにもなる」と説明する。

 冊子は今後、主催するワークショップの参加者などに配布され、パワーズのブログでも紹介する予定。木村会長は「私にはこういう知恵がある、と付け加えて深化してもらえたら」と、さらなる発展を期待していた。

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