鷹ドラ2左腕にさらなる進化の跡 G打者斬った投球で得た「感覚」と「自信」

6月23日。ソフトバンクのファーム本拠地「HAWKS ベースボールパーク筑後」の第二球場は、多数の報道陣が詰めかけていた。3軍が行なった西部ガスとの交流試合。報道用に用意された一室は、ギッシリと人で埋められ、その部屋には収まりきらないほど人が溢れた。

ソフトバンク・古谷優人【写真:福谷佑介】

鷹ドラ1田中の復帰で注目浴びた一戦、ドラ2古谷が好投「リリースの感覚分かった」

 6月23日。ソフトバンクのファーム本拠地「HAWKS ベースボールパーク筑後」の第二球場は、多数の報道陣が詰めかけていた。3軍が行なった西部ガスとの交流試合。報道用に用意された一室は、ギッシリと人で埋められ、その部屋には収まりきらないほど人が溢れた。

 そのお目当は、右肩違和感のリハビリから実戦復帰を遂げたドラフト1位ルーキー・田中正義投手に他ならない。2番手で5回に登板したドラ1右腕は、1イニングをパーフェクトに抑える好投で、上々の実戦復帰を果たした。

 その右腕が登板する少し前。この日の先発マウンドに上がったのは、田中の同期入団であるドラフト2位ルーキーの古谷優人投手。既に3軍戦には何度も登板し、2軍デビューも飾った左腕は、ドラ1右腕に負けず劣らずの投球を披露した。

 立ち上がり、2者連続で空振り三振を奪うと、4回までキッチリゼロを並べた。4イニングを投げて、許した安打はわずかに2本(そのうち1本はバットを折りながらの内野安打)。2つの四球を出したものの、5つの三振を奪う貫禄の投球内容だった。

巨人戦で衝撃の2軍デビュー、スライダーが「自信に」

 球場表示では146キロが最速だったが、筑後第二球場のスピードガンは辛めの数字が出るようで、チームが計測していたスピードガンでは最速150キロをマーク。試合後は「2軍戦で投げてから、だいぶストレートのリリースの感覚が分かった。そのタイミングを合わせることが出来れば、スピードが出るようになりました。良かったです」と笑顔を浮かべた。

 遡ること、6日。17日の2軍交流戦の巨人戦(タマスタ筑後)で衝撃の2軍デビューを飾った。8回から2番手でマウンドに上がると、吉川、ギャレット、中井、藤村という1軍経験もある打者たちと対戦。吉川を遊飛、ギャレットにはこの日の最速となる152キロのストレートを投じ、最後はスライダーで空振り三振。中井には150キロを左前安打されたが、最後は藤村をスライダーで見逃し三振に切って取った。

 初めて上がった2軍戦でマウンド。そこで得たものは、決して小さくないものだった。「スライダーで三振2つ取ることが出来たので、スライダーは自信になりました」。

 横滑りというよりも、ブレーキが効き、斜め下に鋭く変化する古谷のスライダー。ギャレットは力ないスイングに終わり、藤村は一瞬腰が引けての見逃し三振。打者の反応を見ても、その切れ味は相当なもの。1軍経験のある打者にもある程度通用すると感じることができ、そして「短いイニングであれば、投げられるかなと思いました」とも感じた。

感じた課題、習得中の球種とは…

 その一方で、課題も感じさせられた。「セットポジションになったときに、まだどうしても高めにいってしまう。そこは直していければいいかなと思っています。あとは、先発だとやっぱり球種が全然少ないと思います」。

 真っすぐとスライダーが武器の左腕。カーブとチェンジアップを現在習得中で、西部ガス戦ではそのカーブを投げたものの「まだ腕が緩む」と、目下練習中だ。

 左腕が150キロを投げれば、2番手の右腕は152キロと、共に150キロを超えるボールを見せた共演。ホークスの将来を担うであろう2人の類いまれなるポテンシャルを感じることが出来た1日だった。古谷優人と田中正義。2人が1軍のマウンドに立つ日が、楽しみである。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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