過酷道中に感じた「命」と小松由佳さん

 ◆日本人女性初、高峰「K2」登頂、小田原で思い語る 生きる上で大切な心構えを各界の第一線で活躍する講師から学ぶ特別公開講座が25日、小田原市生涯学習センター(同市荻窪)で開かれた。「命」をテーマに、2006年に日本人女性として初めて世界第2の高峰「K2」(標高8611メートル、パキスタン)登頂を果たした小松由佳さんが当時の思いを語った。市民ら約250人が耳を傾けた。

 大学時代に所属していた山岳部の監督から誘いを受けてK2登頂を決意した。登頂率が低く、死亡率が高いことから「世界で最も困難な山」といわれており、当時23歳だった小松さんは遺書を書いたという。

 約2か月かけて登り、24時間眠らず、飲まず食わずで歩き続け、「このまま死ぬのではないか」との思いもよぎった。だが下山しキャンプで待つ仲間に再会したとき、涙を流して喜んでくれた。「ただ生きていることが価値のあること」と感じ、「仲間の存在が支えになった。支え合うことで人は生かし合っていると分かった」と話した。

 箱根町から訪れた無職北川節子さん(74)は「人を思いやることの大切さが分かった」と話していた。

 特別公開講座はNPO法人「小田原寺子屋スクール」などが主催で3回目。普段は小学5年生〜高校3年生向けに月1回講座を開催している。この日は、元朝日新聞天声人語コラムニストの栗田亘さんと、都立駒込病院名誉院長の森武生さんも講演した。

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