横浜港、岸壁確保に奔走 客船寄港数過去最高 

 クルーズ客船の寄港数が過去最高になる見込みの横浜港で、受け入れる岸壁の調整に横浜市が腐心している。国内屈指の規模を誇る横浜港大さん橋国際客船ターミナルだけでは受け入れきれず、再開発を控える山下ふ頭や、貨物専用の大黒ふ頭も活用する。新港ふ頭の新ターミナル開業は2019年春。市の担当者は「新しい客船施設ができるまでは、貨物岸壁を融通しながら何とか確保したい」と話している。

 定員1870人の外国客船「スーパースター・ヴァーゴ」(7万5338トン)が9日から、横浜港を母港にアジアを巡るクルーズに就航する。大さん橋を毎週日曜日に利用するが、外国客船2隻が既に予約している8月13日をはじめ、11月26日までに数回、山下ふ頭の貨物岸壁に移る。

 山下ふ頭再開発事業を計画する市によると、今秋にも上屋の取り壊しを始める見通しという。物流倉庫などを利用するトラックや工事車両などが終日往来することになるが、市の担当者は「客船の着岸時は乗客に配慮したい」とする。

 一方、大黒ふ頭の貨物岸壁には7月3日、横浜ベイブリッジをくぐれない超大型船「マジェスティック・プリンセス」(14万2229トン)が初入港する。ここで問題になるのが、税関・出入国管理・検疫(CIQ)業務だ。

 過去には大さん橋やパシフィコ横浜で行ったこともあったが「3500人規模の乗客らを一度にバスで移動させるのは大変だった」(担当者)との反省から、貨物岸壁に簡易テントを立ててCIQ業務を行うことにした。

 人の流れをどうさばくかは大きな課題だ。阪急交通社は18年4月28日から5月6日までの日程で、横浜港を同じ日に発着する外国客船2隻を運航する。2隻の合計定員は最大で約7千人。大さん橋に着岸する別の客船を加えると、1日に1万人以上の船客が乗降することになる。

 今年の客船寄港数は、過去最高だった13年の152回を上回る見通しで、18年はさらに増える可能性がある。本牧ふ頭や南本牧ふ頭などのコンテナターミナルでは客船は受け入れられないことから、市はわずかな既存岸壁をフル活用する。

 担当者は「横浜港は寄港の予約を断ることはない。ただ、状況によっては大さん橋が使えない場合もある」と話し、予約の時期や船体の大きさ、乗客数などを総合的に判断して利用する岸壁を振り分ける考えだ。

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