【新社長インタビュー】〈大和工業・小林幹生氏〉「海外事業の充実強化が使命」

国内は顧客サービス向上

――抱負を聞かせてください。

大和工業・小林社長

 「社長交代の記者会見で井上浩行会長が話されたように、当社の成長の源泉は海外にある。海外事業の充実とさらなる展開を実現していくことが私の使命であり、そこに向けて力いっぱい頑張っていきたい。35年間社長を務められた井上会長が、1980年代後半から90年代初めに米国のニューコアヤマト(NYS)、タイのサイアムヤマト(SYS)の進出を決断し、パートナーとの信頼関係を構築して成長させてきた。これがあってこそ現在の大和工業グループがある。パートナーであるニューコアとサイアムセメントとの関係をさらに強固にし、新たな展開を図っていきたい」

 「そのためには人が必要であり、グループ全体で採用や人材育成に力を入れていく。当然のことだが、大前提は『安全』であり、『安全』はメーカーにとって一丁目一番地。『安全』をベースにして、グループ従業員が将来に希望を持ち、安心して働ける会社にしていくこと。その上で安定収益・安定配当を続けていける企業を目指していく」

――海外事業ではH形鋼・鋼矢板の米・NYS(持ち分法適用会社=49%出資)、同じくH形鋼、鋼矢板のタイ・SYS(2工場)は堅調だが他の状況は。

 「米国には住友商事との合弁会社で鉄道用タイプレート専業のアーカンソースチールがある。NYSとほぼ同時期の設立で、数年前にともに25周年を祝い、堅調だ。韓国の異形棒鋼子会社、ワイケー・スチールは中国材の影響もあって厳しい状況だが、製造面も良くなってきており、同業他社に追いつくべく頑張っている。バーレーンのSULBはパートナーのフーラスと力を合わせ業績回復に注力している。油価の下落による湾岸諸国の政府予算や補助金削減で公共工事やプロジェクトなど新規投資が減り、電力・ガスのコストも上がっている。安値輸入品も続いている。ただ設備的にはDRI(直接還元鉄方式)→電気炉→圧延ともにフルキャパでの生産体制に仕上がっている。一層のコストダウンを図りながら環境改善を待ちたい」

――NYS、SYSの増強策では。

 「NYSでは、ニューコア側からの投資提案で、QST(クエンチ&セルフテンパー)と呼ぶ極厚H形鋼製造設備を導入して今年初めから生産開始した。PZシートパイルの販売も伸びている。SYSでは地元の設計事務所と連携してガレージや低層建築など向けにH形鋼の市場開拓を進めている。SYSでは人材が育ってきている。サイアムセメントと同じ人事制度で、サイアムセメント・グループ企業ということで、タイの有名大学卒の社員も多い。社長もサイアムセメント出身者が就任してきたが、今般初めてSYSプロパーの社長が誕生した」

 「昨年10月の鉄鋼新聞インタビューでニューコアのジョン・フェリオラCEOが『NYSは鉄鋼の日米JVで最も成功した例だ。井上社長に感謝する』と話していたが、私もそう思う。先日、姫路でOB会が行われ、研修中のSYS社員も参加しOBとの再会を喜んだ。またSYS社員の『タイに出てきてくれて感謝している。おかげで自分たちの生活も向上できた』との挨拶に井上会長も喜んでいた。海外事業ではその土地の人たちが働いて幸せになれることが大事ということを改めて感じさせられた」

――国内事業では。

 「国内は成熟市場だが、海外展開を支える国内事業基盤の強化に向けてコスト競争力、品質、デリバリーなど顧客サービスの向上など不断の努力を続ける。ヤマトスチールの小畑克正社長や大和軌道製造の丸山元祥社長と話をしながらやっていく。小畑氏は大和工業CTOとして、グループの鉄鋼技術を全面的に担当してもらう」(小林 利雄)

プロフィール

 三井物産では、造船厚板販売でスタートし、タイ駐在時代にはサイアムヤマトのH形鋼を販売した。熱延・冷延・電磁鋼板など鋼板貿易が長い。米国駐在も合計4年強。鉄鋼海外事業部長の時、大和工業の海外展開検討を手伝ったことをきっかけに大和工業に入社した。学生時代はサッカー部のスポーツマン。「独立不羈」が座右銘で、自ら行動して結果を出していくことを大切にする。

 小林 幹生氏(こばやし・みきお)80年(昭55)慶大法卒、三井物産入社。造船鋼材、熱延鋼板輸出、ミットサイアム(泰国三井物産)、薄板第一部電磁鋼板室長、秘書室、ミツイスチール米国から08年米国三井物産SVP・鉄鋼製品本部長、09年鉄鋼海外事業部長。12年4月大和工業事業開発部長、6月常務、17年6月社長。57年(昭32)2月生まれ、60歳。東京都出身。

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