アルハイテック、〝アルミ廃棄物から水素〟の世界初の発生装置を製品化

 アルハイテック(本社・富山県高岡市、社長・綿貫勝介氏)は、アルミ廃棄物から水素を発生させる世界初の装置を製品化。5月から発売を開始した。

製品化した水素発生装置「エ小僧(エコゾウ)」

 箔や削り粉などの廃アルミを原料とし、電気分解ではなく特殊アルカリ溶液で化学反応させて水素を発生させるため電源は不要。水素の貯蔵や輸送が不要となるため、製造コストは最大で従来の100分の1まで抑えられる。

 アルミ関連企業や自治体、水素ステーションのほか、燃料電池と接続して信号や街灯、学校、公民館などの非常電源としての利用を見込む。

 水素発生装置「エ小僧(エコゾウ)」の大きさは、幅58センチ、奥行き60センチ、高さ80センチ、重量80キログラムと小型で移動が可能。

 製造能力は1日当たり約1・3キログラムで、燃料電池車が約170キロメートル走行できる分量。アルカリ溶液は繰り返し使える。価格は、出力800キロワットタイプで1台300万~600万円。水素ステーション向けでは2025年までに約70台の受注を目指している。

 同製品は、14年にNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に採択され、実用化に向け開発が進められてきたもの。

 同社では紙、アルミ、プラスチックの複合廃棄物からパルパー型分離機でパルプ成分を回収する「分離機」と、残ったアルミ付きプラスチックを加熱して高純度のアルミを回収する「乾留炉」も販売しており、同装置と組み合わせることで、これまでリサイクル困難だった食品や化粧品に使用されるアルミ付きパッケージなどから水素を取り出すことができる。

 アルミ付き廃棄物を有効活用することにより従来の焼却処分に比べてCO2を87%削減できる。

© 株式会社鉄鋼新聞社