仏エラメット、ニッケル生産1.5倍に拡大 20年までに、コスト削減も

 マンガン、ニッケルを中心に金属資源事業を世界展開する仏エラメットグループのクリステル・ボリ会長兼CEO(最高経営責任者)ら経営幹部が6日、東京都内で記者会見し、グループのニッケル生産量を2020年までに1・5倍に増やす方針を表明した。

 ボリ会長兼CEOは、ニッケルの事業環境は価格低迷などで当面厳しい状況が続くとした上で、日新製鋼との合弁会社で、ニューカレドニアのSLNでは「18年以降もコスト削減をさらに徹底する」と語り、グループ全体での生産拡大と並行して、コスト削減によって競争力を高める方針を示した。

 エラメットグループはフェロニッケル生産で世界1位。現在はSLNを中心に年間約5万5千トン(純分ベース)を生産している。これに加え、インドネシアの新規プロジェクト「ウエダベイ」の開発を計画しており、同プロジェクトの生産開始に伴い、20年時点の生産規模を8万7千トンにする計画。

 ウエダベイをめぐっては先月、合弁パートナーの中国・青山グループとニッケル鉱床の開発契約を締結。これを受けて19年中の生産開始を目指している。最終的にはフェロニッケルと中間製品のニッケルマットを計3万トン生産する計画。

 SLNは今年からフェロニッケル生産に特化した。これに伴いフランスのサンドービル工場では先月、中間製品のニッケルマットを第三者から調達する契約を締結。合わせて新プロセスラインを稼働させた。中間製品の外部調達もニッケル純分生産量の上積みにつながる。

 エラメットはニッケル、マンガン、高速度鋼が中核事業。高速度鋼は現在、航空機分野向けを中心に受注好調が続く。同事業部門のドゥニ・ユージェルマンCEOは「航空機部門の好調は20年以降も続く」とし、同分野での供給体制を強化していく考えを示した。

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